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第106回 お前のジェットパックをよこせ
11月29日
扉を開けると、リュックとジャージが。
なんだか、入口に張られたひもに、かけられていて。
洗濯物ですか。
ちがいます。
リュックは、反逆罪なので、処されてしまったのです。
ジャージは、イマくないから、干されてしまった。
窓際族と、いうやつです。
よくみると、そこかしこの扉に。
処されていたり、干されていたり、はさまっていたり。
恐怖政治だな。
みんなは、処されていたりするのにまるで、無関心で。
入口に処されていて邪魔だからと、リュックを寄せてしまいます。
ぼくは、かなしくなって。
ニッパーでひもを、切ってしまいました。
斬り捨て、御免。
これも武士のなさけじゃ。
切られたひもは、2本になって。
扉の両端にぶらさがっています。
いけない、これではまた、ふたり。
処されてしまう。
ぼくがあわててひもをひっぱると、エンジンがかかってしまって。
発射されたリュックが冬の青空に、どこまでもすいこまれていきます。
斬新な処刑法ですね。
人間は時に、こんなにも残酷になれるものなのです。