第101回 スッテンバイミー
11月24日
うしろから、ボワーとライトが、照らして。
ぼくの右に、ぬーんとした影が、のびます。
いるんだ。
みえないけど、右に。
夜のあいだはいつも、となりになんか。
ぬーんとしたやつが、いる。
どんなにはやく走っても、ゴールしたら、となりにいて。
ぬーん。
狙っているんだ。
ぼくが右利きな、ものだから。
右でパンチをうつときに、右足に体重が、かかって。
弱点の右のワキがあくのを、狙っている。
そのせいで、ぼくはいつも。
左がわに体重をかけて、左、左、左。
かたむいて、歩きます。
ぼくがあまりに、左、左、かたむいているものだから。
チャンスとみたのか、おまわりさんが。
左がわから出てきて、おはようございます、お早いですね。
ツメが甘いぞ、国家権力。
ぼくは体重をかけた左足をじくに、ぐるり。
回転して、右のフックをおみまいします。
そのいきおいのまま、もう半回転。
ぬーんのやつにも、右のフック。
どうだ。
回転したら、左は、右になるんだ。
地球は丸いんだぞ。
クリストファー・コロンバス君の伝記を、読んでおくべきだったな。
ぬーんがいなくなったので、これでぼくはいつでも、攻撃が、できます。
さあ、さあ、どこからでも。
かかってこい。