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六ページ目:囁きかけろ、全力で!

王宮の中の大広間ではガルシア十三人衆同士の激突が行われていた。無駄に高そうな黄金のシャンデリア(推定800,000,000,000,000,000,000,000,000,000リン)に乗るゼスト、そのゼストを翻弄する双子の姉妹ムーとフー。大鎌を構え、操影術で影を巧みに操りながらどちらか片方の意識を奪うことに集中するが、これがどうにもうまくいかない。

操作している自身の影と目の前に意識を分散しているため、どちらかが欠如してしまい結局半端になってしまう。他にも影の能力はあるのだが、相手が二人ということもありどうしても動きを追うのに精一杯になってしまう。並列思考や思考分割、もしくはこの場にもう一人味方がいればいいのだが好機は訪れそうにもない。


「あぶないあぶない」


「きけんきけん」


「ぎりぎりぎりぎり」


「よけれたよけれた」


−−−だが、二人とはいえ、同格であれ、純粋に14歳の少女達に小馬鹿にされるのは面白くない。というか闘志に火が灯りプライドが傷つきそうだ。


妹のフーが動く、気がつけば目の前に迫ってきていた。まるでゼストの意識の外から突然現れたように、そしてフーの左手はポワッと奇妙な薄い紫色の光が現れる。

ゼストはこの光の正体を、知っている!


「ッッ!!」


「−−−かいらくかいらく」


間一髪、避けることに成功する。そのまま愛用の大鎌を振るいフーの意識を奪おうとするが、ポワッと右手に濃い紫色の光を宿したムーが大鎌にそっと触れることで阻止される。


「−−−いたいいたい」


ビキビキビキ、と大鎌に亀裂が走り粉々に砕け散った。ゼストは小さく舌打ちをし、ムーとフーから急いで距離を取る。


「だいじょうぶだいじょうぶ?」


「だいじょうぶだいじょうぶ」


「「はいたっちはいたっち」」


いえーい、と気の抜ける合言葉で通じあう双子姉妹。乾いた音が響くと同時に二人の手から光が消える。ゼストはその様子を見ながら流れる冷や汗を必死に拭う。

ムーの能力は痛みによる作用を操るという五感を刺激する一種の能力。しかもそれが無機物でも通じてしまうところが恐ろしい。対してフーの能力も同じく五感、ではないが快感による作用を操る能力。ムーは濃い紫色の光を右手から放ち、フーは薄い紫色の光を左手から放つことが能力発動のトリガーとなっている。その光にもちろん触れてしまえば痛みと快楽が全身を撫で回すかのように刺激されてしまう、恐ろしい能力だ。

唯一の救いなのは二人はそれ以外の攻撃手段がないこと。逃げ足は早いが食事前に手を洗うのが面倒という理由で対象には一分一秒でも触れていたくないらしい。ゼストは壁や床、広間の周囲に広げていた影を一気に足元に収束させる。

このまま足止めをくらってしまったままでは向こうの思う壺だ、早くシオンとサリナを会わせてやりたいがそのサリナまでもメルククゥと共に突っ走って行ってしまった。早いところ追いかけたいのだが、ムーとフーがそうさせてくれそうな雰囲気ではなかった。


−−−ムーとフーの体が発光し始めた。

ゼストは反射的に身構えるが、どこか何かがおかしい。ムーの体は薄い紫色に、フーの体は濃い紫色の光が全身を覆い始めたのだ。「「あれあれ?」」と困惑する双子ちゃん、少しだけ前の方に戻ってみてほしい。


この二人、互いに能力を発動させたままハイタッチをしてしまったのである。


「ま、まさかまさか??」


「や、ばいやばい!?」


紫髪の双子が初めて動揺の表情を見せ、焦り始めた。これは珍しい光景だとゼストはビデオカメラを取り出してデータに納める。やがて、互いの能力の発動時間となった。


「い、っだい!いだだだだだだだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」


「イッ、やだ!ん、ぅぅあ、ん、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」


妹のフーから効果は表れ全身を引き裂かれるかのような痛みが襲い、姉のムーにはこれほどまでにない震えるような快感と快楽が襲う。頭を抱え身を縮こまるフーに対して両手足を広げ、ビクンビクンとわずかな痙攣を見せるムー。ゼストはさすがにヤバイと判断しビデオカメラを起動させたままその場に置いて二人に近づく、今は敵としてぶつかっていたがそれはあくまでも意見の食い違い。元々はガルシア十三人衆としてシオンを守る盾としてシオンのために闘う矛として同じ釜の飯を共にしてきた仲間である。

−−−ドガガガガガガガガガガガガ!!と広間奥の壁が突如破壊される。


「−−−新手!?」


こいつは面倒くさい!と悪態を吐きながらゼストは双子を守るような位置に立ち、留まる。そこからやってきたのは後退する何本ものサイリウムを操りながらメルククゥだった。


(お前かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!)


「ハァ、ハァ!く、そ!なんで、なんで攻撃が効かないんだ!?これではセフィから金を受け取れない!!」


しかし、メルククゥは酷く焦り疲労困憊していた。冷や汗を流しサイリウムの光を最大限に活用し光線を放つ。メルククゥの光の反射を操作する能力で何度も何度も蜃気楼紛いの幻覚をも見せてるのにそれも無駄に終わっているようだった。一体あの守銭奴、ではなく金を手に入れてはドブに捨てるようにカジノや競馬場、ギャンブル、宝くじに明け暮れては日々負けに負けてる彼女の不屈の闘志を折るような強者がいるのか、とゼストは疑問に思う。早々いるものではないが、煙が晴れてその答えがハッキリする。ていうかハッキリしないほうがゼストにとっては幸せだったかもしれない。というか本気でメルククゥの作り出した蜃気楼であってくれと思ってしまった。


「た、足りない!もっと、もっと!刺激がぁ、足りない!」


(お、ま、え、かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!)


−−−何故か全裸で走ってくるサリナだった。ゼストは本気で泣きそうになったが必死に堪える、一目惚れした彼女はこういう人物なんだとこの二週間でしっかり学んだはずだ!それでいて受け入れようと決心を忘れたか!お前という男はそれまでなのか、ゼスト・シュナイダー!自分に問いかけるようにゼストは頭を床に何度も何度も何度も叩きつける。

隣では悶えるムー、その近くで痛みに堪えるフー。少し離れたところにはサイリウムを振り回すメルククゥ、そのメルククゥを追いかける全裸の少女サリナ。ガルシア王国王宮大広間はこれ以上ないほどのパニックが巻き起こっていた。


「−−−ハァ、あ!ゼスト!!」


「今更かぁ!!ってか、服着ろ!!」


赤面しながら上着を脱ぎサリナに向かって投げる、しかしサリナはそれを華麗にかわしてドヤ顔を浮かべる。


「−−−だが断る!」


「ふ、ざ、け、ん、なぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


「ありのままの姿で何が悪い!?」


恥じらう様子も隠す気もなく堂々としてるサリナは眩しい、いや、もしかしたらメルククゥの能力である光の反射の作用によって大事な部分を隠しているだけなのかもしれない。置いてけぼりをくらったメルククゥはポカンと阿呆な面を浮かべていた。ギャーギャー騒ぐサリナとゼストに対して何を想うかは彼女の心の内だけの秘密である。


「.....ていうか何でここにムーちゃんフーちゃんが倒れてるわけ?」


ぐったりとした様子で倒れている双子姉妹に目を向ける、どうやら効果は消えたようだ。ムーはどこか幸せそうな表情で倒れてるのに対してフーはぴくりとも動かない。二人とも脈は、ある。状況が一番わかってそうなゼストに色々と聞きたいが、口論はまだ終わりそうにない。ていうか、サリナは早く服を着るべきだ。


「いいから服を着てくれ!頼むから、ホントマジで!!」


「そうやって話をごまかそうとして−−−」


「まぁまぁゼスト、落ち着きなさいな。女の裸くらいで」


「.....メル」


このままでは話が進まないと判断したメルククゥは溜息混じりにヒートアップしているゼストを止める。


「で、何が何なのか話してくれない?何でムーちゃんとフーちゃんが倒れてるのか、それとこの女が誰なのか」


「........」


「私も訳わからないままより理由を知りたいよ、シオン様の安否も気になるし」


「−−−シオンに何かあったの!?」


ここにきて初めてサリナが動揺する、ゼストは簡単にことの成り行きをメルククゥに説明する。


「−−−なるほどね、シオン様の実姉がこの露出狂、か」


そりゃ家出もしたくなるわな、とメルククゥは決して口には出さない。


「で、れーざー☆びーむを止めるためにこの国に来たわけだ」


「ま、簡単に言うとな。俺はシオン様とサリナちゃんはきちんと会って話し合うべきだと思う」


「.....わかった、ムーちゃんとフーちゃんは私が部屋に戻しておくわ。セフィにも上手いこと言って金だけ貰うからあんたら二人はシオン様のとこに行きな」


メルククゥはムーとフーを抱え上げる。ゼストは申し訳なさそうに苦笑いを浮かべる。


「悪いな、メル」


「−−−片付いたら1,000万リン払いなさいよね」


「高いわ!」


「当たり前よ。これはビジネスなんだから」


「.....わかったよ、お前はそういうやつだったよ」


「−−−よくわかってんじゃん」


ゼストとメルククゥはハイタッチをかわす。パンという乾いた音が鳴ることはなかった、メルククゥがずらしたからだ。


「.........」


「へっ」


イラっ☆

ゼストは額に青筋を浮かべて拳を握り締める。メルククゥは高い位置から心底楽しそうに笑顔を浮かべていた。


「.....」


ゼストはメルククゥに向けて小石を蹴飛ばす。蹴飛ばした小石はメルククゥの額に赤い痣を作るのに十分な威力だった。メルククゥは仕返しとばかりに光をゼストの両目に当たるように操作する。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」


「ざ、ま、ぁ!!」


ゴロゴロと目を押さえながら転がりながら、メルククゥの足を蹴り飛ばす。メルククゥは甲高い声を上げ、こける。その際にスカートがフワリと浮上しピンク色の可愛らしい花柄デザインのパンツがゼストの目に飛び込む。怒りと羞恥に顔を真っ赤にしたメルククゥとニヤニヤ笑みを浮かべるゼストは同時に同じ言葉を発する。


「「上等だ!やってやる!!」」


−−−激突はサリナが全ての攻撃を受け止めてことなきを得た。クールダウンした二人はそれぞれの進むべき方向へと向かったのであった。

のはずだったが、また先走ってしまったサリナ(ちゃんと全裸)を一旦放置してメルククゥに聞くべきことがあるためゼストは質問する。サリナの影にゼストの影の一部を溶接してるのでそう遠くへは行けないようになっている。


「そういや、シオン様には一体誰が付いてるんだ?」


「そっか。あんた何も聞いてなかったんだったね」


サリナと同行することを決めてからゼストは携帯電話を潰している。そこからアドレスを全て一新した。メルククゥはそのことに納得し、ゼストの求める答えを出す。


「−−−質問一回につき50万リン」


「払うか!」


求めてる答えではなかった。メルククゥも冗談(にはとても聞こえなかった)だったようで今度は真面目に答える。


「シオン様の護衛は二人。セフィ、セラフィールはさっきまで付いてたみたいだけど今は持ち場を離れて単独行動ね」


「セラフィールか」


厄介なのが消えてくれたと内心安堵する。炎神の加護を授かり身に宿す彼女はまさに炎の神、さらにエルフ族の魔力が手助けしてその力を遺憾なく発揮できるようになっている。まさに神、そんな存在とぶつかるのはごめんだ。


「−−−もう一人はリグロ」


その言葉を聞いてゼストは露骨に嫌そうな表情を浮かべたのだ。理由は単純である。


「あ、あのクレイジーサイコホモがシオン様と二人っきり、だと...!?」


−−−シオンの貞操が危ない!




カグヤは街を走り王宮を目指す。(多分)ゼストが持っているであろう得物を取り返すために!あれがないとカグヤの能力の九割九分使えないと言っても過言ではない。道中巨大な黒竜が道を塞いでたり、見知らぬ誰かに追跡してくる変態、もといギルディアを足止めしてもらったりと色々あったがなんとか王宮へと辿り着いた。

まず、門を潜り王座の間を目指す。自身の得物よりもシオンの安否を確認したいからである。セラフィールとリグロの二人が付いているとはいえ、心配なものは心配なのだから。


しかし、王座の間には誰もいなかった。最短距離で来たのだ、昔ここで盗みを働こうとしてた誰も知らないはずであろうルートを使って。できるだけ合理的かつ安全な道筋を選んで、となるとやはりもう既に移動した後、なら何も心配することはない、か。


カグヤが王座の間から去ろうとした、その瞬間に正面の扉は勢いよく開かれる。そこにいたのは汗を流したゼストであった。


「サリナちゃんはここには来てないか、ならやっぱり反対方向だったか...げ、カグヤ!?」


「見つけたよん、ゼスト!私の武器を返してもらおうか!」


「−−−売った!」


「ぶっ殺すぞ!☆」




シオンの部屋の前、リグロは扉の前で死守するかのように仁王立をしていた。時々やってくる睡魔に四苦八苦しつつも意識は手放さないようにシステムを切り替える。リグロ・k-nitori8・アレグロスは改造人間である。軍人歩兵時代、顔面を右半分と下半身を損失することとなり呼吸器官、発声器官にも障害が残り、脚は完全な義足として新たな脚が地を歩く。脚の再生は叶わなかったが、義足になったことで多くのことができるようになったので結果オーライだ。こうして半機械化の影響で何とか生き長らえている。彼を助けてくれた研究者達には感謝はしている、だが、一点だけ恨みがある。

近年の研究により男性細胞よりも女性細胞の方が細胞分裂の速度が速く、古い細胞を捨て置いて新たに分裂生成するのが女性細胞の方が優れているとわかったらしい。


というわけで、リグロの皮膚の再生には女性細胞が使われた。しかも、その影響が何故か神経を伝い脳に影響を及ぼし、男ですらも性的興奮対象となってしまったのだ。いや、マジでどうしてこうなったんだ?とリグロも当時は酷く困惑した。研究主任は「あ、めんごめんご☆でもさ、実験には失敗がつきものだしさ、うん!前向きに行こうよ!」とか阿呆なことを言い始める始末である。もう半ば諦めてしまっており、素直に受け入れようと努力はしているのだが、リグロに残された理性が細胞と激突しているのだ。今流している大量の汗もそれが原因である。今必死になって喘いでいるのも同じ理由だ。

口元と右目の傷痕に接続されたパイプが外に出る仕組みではないので吐息が漏れることはないが、頬が紅潮してきたのを隠せているのかが気掛かりだった。ちなみに客観的に見ると僅かに紅潮している。時々女性細胞が頭に囁いてる気がするのだ。「ホモォ」と頭の中をこの三文字反芻する。白く丸い四本腕なのに四足歩行を行う生物もたまに見えるときがある。

そのせいで普段から男の尻を追いかけたり、そっち方面の店に通ってるうちに常連客として捉えられてしまった。全くもって許しがたい事実である。


−−−ピコン。

生命反応が脳波レーダーに引っかかりリグロは目を開く。扉の向こうのシオンではなく、別の生命体。マスクの調子を整えながらゆっくりと若干猫背になってきた上半身を起こして伸びをして扉からゆっくりと身を離す。

パキ、パキと両手の五指を鳴らしながら視力を0.5から3.0に切り替える。どんな輩が来ようとも不意打ちで吹っ飛ばされればどうすることもできない、先程セラフィールが足止めしていた者と同じ気配なので敵と認識して問題なさそうだ。

そう、それが例え全裸の少女であってもである。


「シオーン!いるなら返事してー!」


「.....」


「−−−こっちからシオンの匂いがする!間違いない、どんどん強くなってるッッ!!」


−−−来る!何故だかはわからないが反射的に身構えてしまった。扉の奥からコンコン、と軽く壁を叩く音が聞こえたので扉に耳を密接させる。


「どうかなさいましたか、シオン様」


「ね、じゃなかった、僕は先に抜け穴から逃げるから足止めよろしくね」


「もちろんです」


もうこの際目の前の全裸少女がどこのだれでもいい。今はシオンを逃がすための時間稼ぎに徹する。どっち道相対すべきだったのだ、それが少し早くなっただけと考えればいいだろう。

−−−あんな不審な女をシオン様に近づけるわけにはいかない!!


ガコン、と右腕の皮膚が剥がれるようにして精密機械が次々と露わになり始める。バチバチバチ、と火花が散り始めリグロは一切の容赦もなくサリナに向かって掌底を放つ。やっぱ女子よりも男子の方が萌えるよね!


まぁ、位置が悪く左胸を鷲掴みにしてしまったのだけどね!サリナは火花の刺激と胸を摑まれた羞恥、それよりもありのままの姿を見られていることを改めて自覚したサリナはリグロがドン引きするレベルで悶えていた。




外は既に日が暮れ始めていた。夕暮れをバックにリビアスター空賊団の面々は散り散りになり、幹部であるヤスヒトを捜索していた。落下の衝撃か何かでヤスヒトの携帯電話が壊れてしまったようで連絡がつかない。そういうわけで船長であるリビアも捜索に参加している。指名手配されてる身としてこういう大きな国での行動は控えたいのだが、そうもいってられない。仲間の安全確認が第一である。


「頭、こっちにはいませんね」


「黒竜の近くは凄い衝撃で近づけませんでした」


「.....一番怪しいトコだな」


一つ、軽く溜息を吐いて方針が決まった。のだが、リビアは何故か王宮の方へと目を向けていた。

何故かはわからない、どうしてなのかは本当にわからない。同行してた仲間たちも心配そうにこちらを見ている。


リビアの視線の先には同じエルフ族の少女がいた。

同族嫌悪、エルフ族にしてエルフ族を嫌うリビアであるため目の前のエルフに襲いかかるのではないかと仲間たちは心配したが、逆にリビアは冷や汗を流して激しい動悸に襲われていた。

それはピンク色の髪をしたエルフの少女も同じようだった。


「リ、ビィ.....?」


「セフィ、なのか?」


ドクン、ドクン、と互いが互いを見つめあう。

二人が次の言葉を紡ごうとした瞬間、厄災は何の前触れもなく目を覚まし甲高い咆哮を上げたのだった。


−−−物語はまた新たな展開へと加速する。

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