朝の教室
小走りで教室に行くと中で親友の伊藤真哉がニヤニヤしながら俺に声をかけた。
「よっ。今日もモテモテだね〜」
「なんだよ。別にそういうんじゃねーし。」
「はぁ〜…。お前ってやつは…」
「なっ、なんだよ!?」
「いや、なんでもねーよ。それより早く席着かないと先生来るぞ」
「…。そうだな」
伊藤の言葉の意味がよく分からなかったが、そろそろ先生が来る時間だったので席に着いた。
ーガラー(教室のドアが開く音)
「おはよ〜。今日もみんないるな?」
「「「はーい」」」
「よーし。じゃ、ホームルーム始めるぞー」
ハァ〜…。今日もつまんねぇ〜。
そんなことを思っていると隣から声をかけられた。
「優也。今日の放課後カラオケでもいかねぇか?」
声をかけてきたのはクラスメイトの山田だった。
「ん〜…、よし。行くか」
「いいねぇ〜。だったらさ、晴香さんも誘ってくんね!?」
「なんでだよ。いいよ晴ネェは」
晴ネェとは俺のいとこで、親のいない俺を心配してよく面倒を見てくれる一つ上の姉さんだ。今は学校が同じだからと、俺の家に一緒に住んでいる。ついでにこの学校の生徒会長で名前は川瀬晴香という。
「ちぇー。ケチ〜」
山田が抗議してくるが無視する。
「優也のいけず〜、唐変木〜、鈍感〜」
………。無視だ。
「非モテやろ〜、女ったらし〜、ブス〜」
だんだんうざくなってきた。
「先生〜、隣の山田君がうるさいでーす。」
「山田〜、川瀬のことが好きなのはわかったからしばらく静かにしてろ〜」
「「「ハハハハハ〜」」」
みんなに笑われた。
「優也のせいでホモ扱いされたじゃねーかよー」
「自分が悪い。俺のせいにするな。」
こんなバカみたいな会話をしているうちにホームルームが終わった。
俺は反対の隣の席にいるクラスメイトに声をかけた。
「なあ〜、1限目ってなんの授業だっけ?」
「確か〜…、数学だな」
「まじかよ。数学嫌いなんだよな〜」
「お前、そのセリフ毎回言ってるよな 笑」
「仕方ないじゃん。まじで嫌いなんだからさ」
ーなんでこの世に数学なんてもんがあるんだろう。ー
そんなことを思いながら空を見上げる優也だった。