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5.30 何故なんだ俺 in教室


今朝の彼女は、紺の短すぎない女性らしいショートパンツに袖の短い白いブラウスを身に着けていた。

例年より梅雨入りが早く、教室もむしむしと暑く感じることが多くなった。

彼女の服も、夏の装いに変わりつつあった。


ウェッジソールのサンダルを引っ掛けている、おそらく素足だろう日焼けしていない白い脚に目が引き寄せられる。

朝日を映して眩しいほどに白く見える彼女の脚は、通学や体育で日にさらす機会の多い女子高校生と違い、艶かしく大人の女を感じさせた。

上からだし距離があるので定かではないが、彼女と挨拶を交わす他の母親たちと比較して、彼女は平均的な身長で少しだけ細めの体型のようだ。

並んだら俺のどの辺なんだろう。相川くらいか、武田くらいか。

足の細さは武田と同じくらいだけど、上半身は武田より薄いかもな。

クラスの女子を眺めながら彼女のことを想像していた。


やばい、変態だ。

ストーカーの上に変態。変態ストーカー高校生。

本気でやばい。




「 お前また外見てたろ?」

休み時間になり政木が後ろから肩にのしかかってきた。

無言で振り払うと、さっさと机をまわり俺の席の前から外をのぞいた。

「 そんなに可愛いのかよ?いつもどこにいんの?」

「 教えるわけないだろ」 

「 ええーなんでだよ。電停?バス停?あっちの女子大?あ、どっかの会社か?」 

言われるまま外を眺めてみる。

確かに政木が挙げたものも全部見えるし、他にもコンビニ、でかいマンション、小さいマンション、飲食店、そして幼稚園。

こっから見える場所だけでも毎日物凄い数の人が行ったり来たり立ち止まったり働いてたりするんだろう。

しかも彼女のように、毎日大体同じ時間にこの場所に現れるという人間も大勢いるだろうということに気付いた。


「 さあね」 

他のどれよりも、彼女の現れる駐車場がこの教室に近いわけだが、やはり政木の目には入っていない。

何故なんだ俺。女子大生でよかったじゃん。コンビニのバイトのお姉さんでも。 

どうして俺の目は、子持ち人妻いい加減の彼女に釘付けなんだよ。








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