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(プロローグ) パーティーの後は 恋人たちの時間

 『魔法使い』とタイトルにありますが、今回は ファンタジーの要素はゼロでございます(笑)

  朝、目覚めたとき。


  目の前に、愛しい人の顔があったら、どんなに幸せだろう…… と。


  そんなこと、まったく考えもしなかった――― なんて、真っ赤なウソである。


  ただ、恋愛というものに とんと縁の無かった 自分にとって、まさか こんな 《展開》が待ち受けているとは……。

  いったい 誰が 予想できたであろう。


※ ※ ※


「…… 目が覚めた?」


  突如、至近距離で 囁かれた甘い声に、全身のチカラが 抜けそうになった。

「あ…… あおいさん……」

  恋人である 彼の名前を言うのが 精いっぱいで。  

  情けないと思いつつ、頭をフル回転させて、今の状況を 必死で思い出した。


  時刻は、午前零時を回っている。

  彼が 招待されたパーティーに、パートナーとして 出席した帰りの、車の中だった。

「私…… パーティーで……」

  思い返してみても、途中からの 記憶が 曖昧なことに、さーっと 青ざめる。

  何か、とんでもないことを やらかしたのでは ないだろうか。

  そもそも、主催者に 最後の挨拶をしないで帰るなんて――― マナー違反である。


「心配しなくても、大丈夫。 君は 完璧に、俺のパートナーをつとめてくれたよ」


  ちゅっと、おでこに 可愛らしい口付けが落とされた。


「あっ……」

  車内が広い リムジンであるのに、葵は 自分のことを抱っこした状態で、離そうとはしない。

「あの…… ダメ、離して……」

「どうして? もうパーティーは終ったんだ。 この後は、恋人たちの時間だよ?」


  飲み慣れない アルコールを飲んだせいで、いつもよりも さらに、頭がグルグルする。

  そうでなくても、付き合い始めて まだ 一ヶ月―――。

  葵を前にすると、いつも 自分は 何も言えなくなってしまうのだ。


  恥ずかしくて。

  好き、過ぎて。


  バカみたいに、『ダメ』とか『イヤ』と 繰り返してしまうのに、葵は いつも、優しく笑って抱きしめてくれていた。


  こんな 平凡な自分に、到底 釣り合わないような、素晴らしい人。

  家柄も、手がけている仕事も、容姿も、性格も ――― 彼、九条くじょう あおいには、欠点と呼べるものなど 何も無いといえる。

  非の打ちどころのない、完璧な 《紳士》。


  絵に描いたような、女性の憧れ。 王子様。

  いまどき、こんな人が 本当に存在するのかと ――― 出会った当初は、自分も信じられなかったくらいだ。


「だって、もう こんな時間だし…… 家に……」

  チカラの入らない 体では、抵抗らしい 抵抗など、できるわけもなく。

  それでも なんとか、言葉を紡ごうとしていると、その唇を やんわりと塞がれる。

「んっ……」


  そっと 顔を離した葵は、とろけるような笑みを向けてきた。

「君の家には 連絡を入れて、きちんと 《お母様》の許可も頂いているよ。 だから、今夜は…… ずっと一緒だ」


  その、甘い言葉と、声に。

  心臓が 爆発してしまったのは、いうまでもない。

「や…… ダメ……」


  自然に、目じりに 涙が溢れてくる。

  彼のことが、嫌いなわけではない。

  ただ、好き過ぎて。

  同じ 空間にいるだけで、思考は 乱れて、いつも 泣きだしてしまう。


  普段の 自分からは 想像もできない、幼い 反応だ。

  いつも どこか冷めていて、物事を 斜めにとらえて、親からは《ひねくれ屋》と太鼓判を押されていた、自分が。


  初めての恋と、初めての 恋人を前に、泣くことしか できないなんて……。


「ああ、もう。 そうやって、君は 俺のことをあおるんだから……」

  困った子だ ――― そう言わんばかりに 再び 唇が下りてくるのを、止めることもできない。


  そうして、今日も また。

  これ以上ないくらい、全身を真っ赤に染めあげて。


  泣きながら 甘い吐息を吐きだすことしか できないまま、一日が 終るのである。  

  はじめまして、の方も。

  他の作品を ご存じの方も。


  水乃 琥珀と申します。


  ファンタジー専門と言いつつ、たまには 現実っぽい話に手を出してみた、チャレンジャーです。

  それでも、基本の 『水乃スタイル』は残っていると思いますので、おそらく 《さわやか》にはならないでしょう。 どこかに、回を追うごとに 《ダーク》な展開も予想されますので、それを ふまえた上で、作品を お楽しみ頂けたらと思っております。


  初回は、いきなり ラブラブさせてみました。

  こんな感じで ベタ甘モードの恋人たちのお話です。


  次回から、ここに 至るまでの、二人のラブ・ストーリーを書いていく予定。 このプロローグが 気になった方は、今後も チェックしてみて下さいね。

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