Prologue
「ハルキー、このあとカラオケ行かね?」
クラスメイト数人がカラオケの割引券をみせながら俺に言う。
「悪い、パス!!」
俺はそう言って鞄をつかみ急いで教室をあとにした。
「あんなに急いで彼女か?」
「そんな話、聞いてないけどな。」
「でも、なんか嬉しそうじゃなかった?」
残されたクラスメイトたちはハルキの背中をみながら話した。
「ごめん、待ちました?」
教室をあとにした俺は急いで家と学校の中間にある公園を目指した。
公園には、小さい子供や母親たちがたくさんいた。
そんな中、俺が話かけたのはベンチに座って子供たちを眺める女性だ。
30代後半の彼女は年齢よりわかく見える。
「そんなに急いでこなくてもよかったのに。」
そう言って笑って俺にハンカチを差し出す彼女。俺はそれを素直に受け取り額にある汗をふく。
「こんなおばさんに付き合わせちゃってごめんなさいね。」
ちょっと寂しそうに笑う彼女を俺は慌てて否定する。
「全然そんなことないです!!友達とはまた明日も会えるし!!」
そう言うと彼女は小さくそうねっと呟く。でもその顔は本当に寂しそうだった。
初めてあなたと会ったとき、 なぜだか気になって、 次に会ったとき、 あなたは俺には意味のわからないことを言った。 そして俺は知る あなたの過去を あなたの気持ちを 俺は あなたに会えて・・・ 。Last Letter これはあのとき苦しい想いをした彼女のお話 それを知りたいと思った彼のお話 何があなたにとって幸せか 少しでも掴めたら 嬉しいです