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最終章 新たな王国、王女と勇者の物語
一年後、グレイモンド王国は大きく変わった。
聖教団は改革され、魔力を持つ者も、光も闇も平等に扱われるようになった。
私は王女としてではなく「闇の調和者」として、人々の間に入り和を保っている。
アルトスは勇者を辞め、王立魔導騎士団の長となった。
「なあ、クラウディア」
ある夕暮れ、城の庭で偶然会った彼が私には尋ねてくる。
「後悔しないか? 魔王の娘として戦わなければ、もっと平和な人生もあったかもしれない」
私は黒い炎を掌で踊らせながら微笑んだ。
「平和って、何もかもが同じになることじゃない。違った者たちが互いを認め合うこと。それが、父が望んでいた“自由”なんだよ」
アルトスは私の手を取る。
「なら、これからも……一緒にその世界を作っていこう」
空には月と星が輝き、光と闇が調和していた。
私は悪役令嬢なんかじゃない。
私は──魔王の娘であり、未来を創る者。
そして、この物語はまだ終わらない。
THE END