第六章 最終決戦、光と闇の狭間
聖教団の本部──白銀の塔。
フェリシアは古代の封印装置を使い、私の力を完全に吸収しようとしていた。
塔の頂上では光の鎖が私の体を縛り、血が滴る。
「無駄よクラウディア。お前のような存在はこの世界に不要だ」
「……あなたは孤独だったのね?」
フェリシアの顔が凍った。
「偽りの正義に溺れて、本当の自分を見失ってる」
「うるさい!」
フェリシアが聖剣を振り下ろす。
その瞬間──ガキンッという激しい音が鳴り響いた。
「止めるなフェリシア」
アルトスが剣を構え、フェリシアの刃を受け止めながら私の前に立っている。
「クラウディアは悪じゃない。そして、お前が恐れているのは自分自身の闇だ」
「アルトス……なぜ? あなたまで……!」
「私は正義のため戦ってきた。でも正義が人を傷つけるなら、それは正義じゃない」
アルトスに他の勇者たちも続いた。
魔法使いのセリーヌが呪文を唱え、戦士のガルドが盾を掲げる。
「俺たちもクラウディアを信じる」
「私たちの正義は排他じゃない」
フェリシアは涙を流した。
「……どうして? 私は、皆を救おうとしたのに……」
「救うなら、違いを受け入れることから始めるべきだった」
私は立ち上がり、彼女に手を差し出す。
「フェリシア。闇も、光も、この世界には必要だ。一緒に新しい世界を作ろう」
彼女は、震える手でその手を取った。