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11.公爵令嬢のとある一日


4:30

エミリーティアの一日の始まりは日の出と共に始まる

季節により若干の時差はあれど、部屋に朝日が差し込むと自然と目覚めてしまうからだ


余談ではあるが曇天の場合でも体内時計が仕事する


執事・侍女長は主人と同じ本邸に住み、その他の使用人は併設されている別邸にて暮らしている

本邸と別邸は通路を隔てて繋がっており効率良い


とは言え、エミリーティアが起床する時刻は通常の令嬢よりも早く侍女が活動する前である


王宮では常に複数の専属侍女が交代で待機しており起床の支度も万全であったが、屋敷ではそうもいかない


初めのうちは侍女長が対応していたが、エミリーティアは次第に心苦しく思うようになり、朝の支度は出来る限り自分で行うようにした


4:45

ぬるま湯で洗面した後、ゆっくりと柔軟運動を始める


柔軟運動は王宮の近衛騎士に教わった

筋肉や関節の可動領域を広げ疲労物質を排除する効果があると言う


5:30

部屋に備え付けのバスルームで軽く汗を流し身支度を整える

スマートカジュアルは着付けを必要としない為とても良い


6:00

書棚から適当に見繕った本を選び、椅子に腰掛け読書を始める

本日選んだ書籍は『筋肉は関節に裏切られる』


8:00

化粧台で侍女に髪を整えられ化粧を施される

この間、エミリーティアは微動だしない


8:30

家族揃って朝食を頂く

本日は新鮮な野菜をふんだんに使った具沢山スープ、焼きたてのパン、敷地内の養鶏場で採れたゆで卵、デザートはホットバナナのヨーグルト和え


妊活を応援する献立であった


9:00

勉学の時間ではあるが、エミリーティアは学園を昨年卒業し王太子妃教育も終了しているので自由時間となる


「庭師のところに行きます」

侍女に告げると、先触れを伝えに他の侍女が先行する


最近エミリーティアは新しい趣味の開拓に意欲を向けていた

令嬢の趣味と言えば音楽鑑賞・演奏・刺繍と定番だが、より実用性が高く日常生活に役立つことを条件に探した結果、園芸に辿り着いた


但し鑑賞用ではない


「マルコ爺、わたくしの菜園の様子を観にきました。お時間は良くて?」


マルコは代々公爵家専属庭師の家系で敷地内に家族と暮らしている


「お嬢様、ミニトマトの収穫が頃合いですぞ」

「早速頂きましょう」


侍女からバスケットを受取り瑞々しい実を収穫する

ハンカチで実の表面を拭い口にすると、甘みが強く味も濃い

エミリーティアは付添いの侍女にもミニトマトを手渡すと大いに喜ばれた


土作りから始め苗を植え付け水やりを行い、マルコに聞きながら育てた野菜は格段に美味しく感じられた


「お嬢様、次はナスにしましょうか」

初心者でも育てやすく実が付きやすい野菜をマルコが勧め、エミリーティアは嬉しそうに頷き返した


12:00

昼食の時間は基本エミリーティア一人である

父ジョージは王宮にて公務、母シンシアは外出する事が多くあえて一緒には摂らない


「お嬢様、昼食は如何なさいますか?」

「中庭のガゼボで頂きましょう」


14:00

インフォーマルな服装に着替え、髪を整え身支度が終われば、馬車で王宮まで移動する


今日は採れたてミニトマトを持参している


ユリウスの執務室へ行く前に、持参した野菜を毒味の役人に提出する

婚約者といえども規則は守らねばならない


「ミニトマトがこれほど美味だとは知りませんでした。お嬢様が栽培されたのですか!?」

顔見知りの役人が驚愕した様子で問いかけた


15:00

執務室茶会


17:00

帰宅後は自室で夕食までの時間を過ごす

手元にある書籍は『野菜づくりはじめました』


19:00

家族揃って夕食を頂く

献立はクリームシチュー、ローストチキン、パン、サラダ(ミニトマト付き)、デザートはフルーツカクテル


「このミニトマトは世界で一番美味しいよ!」

「令嬢が土いじりなんて、と思ってましたが、本当に美味しいわ」


両親も気に入った様子であった


21:00

入浴も終わり就寝までの間は一日のまとめとして日記を書くことを習慣付けていた


日記帳にはその日の出来事、感想や考え、反省点や目標の他にも野菜の成長具合を記録している


「今日も穏やかな一日でしたわ」


リード公国産カモミールティーの甘く優しい香りがエミリーティアを包みこんだ


ミニトマトが準主役級の働きw

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