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 ともあれ、回収した水晶は、自分が所属する魔法少女学園へと保管され、厳重な管理に置かれる。一般の人間が……しかも、自分もそうだが年端もいかない少女が盗めるはずがない。

 更にいえば、もし学園に在籍していない魔法少女がいたとしてもそれは同じだった。魔法少女であれば、魔女の水晶の意味が分からない人間はいない。何より、意味が分からないような人間には浄化は使えないし、魔法少女にも成れない。そして、更にいうなら、学園に所属せず一人で魔女の従僕と戦うメリットは何もない。魔女の水晶を所有し続ける意味もない。


「どうやってって、それはもちろん――」


 ティスとセリッサの視線を涼しい顔で受け、シェオルは拳を軽くあげるとにっと笑った。


「殴り飛ばして」

「殴り……あなたはっ!!」

「見せましょうか?」


 堪らず声を上げるティスにシェオルは一歩踏み出し、受付の台にある自分が持ってきた魔女の水晶を一つ手に取った。


「力を見せたら納得するでしょう? 殴り飛ばして倒したって」

「……何をいっているの」

「だから、力を見せるっていってるんです。訓練用のがありますよね、ヌイグルミとか」

「…………」


 慣れたように話すシェオルに、ティスは再び黙ってしまった。

 慣れたように――まさしくシェオルは予定調和のように最初から考えていたのだろう。訓練用に現出させている魔女の従僕を使って、力を見せることを。

 愛情を込めたものには心が宿る。ヌイグルミや人形は特にそうで、それに水晶を埋め込めば擬似の魔女の従僕を創ることができた。

 魔法少女の訓練にはそういった擬似の魔女の従僕を使っている……ただし、これは学園関係者と学園に在籍している魔法少女しか知らない事実だった。


「あなたは……」


 ティスは怒りの表情を消すと、視線を再び手元へと落とした。手元にある書類……目の前に居る少女、シェオル・ハデスの履歴が書いてある書類に。

 冥府や地獄を意味するシェオル・ハデスという名前。魔法少女に成れない。水晶を持っている。浄化は使えるといい、擬似の魔女の従僕の事を知っている。

 それが、すべて予定調和で喋っているとすれば……


「親戚に魔法少女がいるとかはないですよ。さっき話した通り両親も他界し、親戚もいませんから」

「…………」

「一応、魔法少女の学園に入るってことで少し調べました。機密事項ってわけじゃないでしょうし」


 行動の意図を理解して先に説明したシェオルに、ティスは視線を上げた。怒りはもうなくなったが、逆に今度はそれ以上の疑念が生まれていた。


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