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3.お前が諸悪の根源か Side:ルーシャス

 俺はパトリシアに縋りついた。


 悪いところがあれば必ず直すから俺を捨てないでくれと懇願した。


 しかしパトリシアは「私がルーシャス様に釣り合わないのです」というばかりで、俺のどこが嫌なのかヒントすら教えてはくれない。


 困ったように俯くパトリシアにどうすることも出来ず、俺は別れるしかなかった。


 いや、もちろんその日は。だ。

 婚約解消などはしない。絶対にだ。


 どこが彼女の気に触ったのだろうか。あんなに急に婚約解消を告げるくらいだ。我慢できないようなことを俺がしてしまったのだろう。


 だが思いつかない。


 俺はこっそりと彼女の侍女に尋ねた。

 しかし侍女も分からないという。

 俺と婚約してからずっと幸せそうだったのに。と言う侍女の言葉に俺は喜ぶことも出来ずに困り果てた。

 侍女の言葉は真実だろうか。だがもしも何かを隠していたとしても俺には教えてはくれないということだ。

 俺は自分の行動を振り返る。

 しかし何度思い返しても思い当たることがない。


 俺は今日も彼女へ花を贈ると、気は乗らないがパーティーへと向かった。


 論文の時に世話になった人物からの招待だ。行かないわけには行かなかった。


 彼のおかげもあり論文は完成し、それが彼女との婚約に結びついたのだ。

 もっとも今解消の危機に陥ってはいるが。



 俺は、しかしその気持ちが音に乗らないように気をつけて演奏した。

 それでも物悲しい気持ちは漏れ出てしまったようで、会場では啜り泣く声が聞こえた。



 俺は演奏を終えると、挨拶のためにしばらく会場を巡っていた。

 いつものように寄ってくる令嬢を適当にいなしながら、挨拶が必要な相手を巡り、そろそろ帰ろうと外に出たところで、俺に近づいてきた令嬢。これが諸悪の根源だったのだ。



 彼女は俺に言った。

 「新しい婚約者をお探しでしょう?」と。

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