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魔力分配器

 役所を出たニ人は、病院で会った少女と再開した。

「さっきはありがとう。お陰で助かったよ」

 少女は元気に謝意を示す。

 気にしないでとオーメンは言うと、少女が持っているモノに目を移す。

「話しは変わるんだけどさ、それ、何かな?」

 オーメンは少し低いトーンで、そして確信めいた声で、少女に問う。

「こ、これは……」

 少女は一瞬躊躇ったが、恩があることもあり、答えることにした。

「魔道具だよ?」

「「!!」」

「やっぱりそうだよね! 私の魔道具が反応してたもん!」

 そういってオーメンは、二本の折れ曲がった棒を出す。

「何ですか? これ?」

 アマナスがオーメンに問う。

「これはね、魔道具に反応する魔道具だよ」

「三ヶ月いたのに、初めて見ましたよ」

 アマナスは怪訝な顔をした。

「今までは反応してこなかったからね。見せそびれていたんだよ」

 それを聞いて納得した。最初に会ったとき、自分が持っていたネックレス(魔道具)にオーメンが気が付かなかったことに。

「あること自体は教えて教えてほしかったです」

「ごめんごめん」

 そして彼女は少女に

「それ、譲ってもらえないかな?」

 と、空気を張りつめさせた。

「ダメっ! これは希望なの!」

「希望?」

「これさえ使えれば、納税証明書を作れるの!」

 

 三人は近場の飲食店に入り、そこで話をすることにした。

「さて、その魔道具と納税証明書が、どうつながるのか、教えてもらえるかな?」

「これはね、魔力を他人に分け与えられるんだよ」

 オーメンは、ほうと微笑を溢す。

「証明書を作るには、魔力を込めないと書け(魔力がインクの)ないペンを使わないといけないのは、知ってるよね?」

「らしいね」

「でも私には魔力はないの」

「魔力が無くても、納税証明書は作れるって聞いたけど?」

 アマナスが質問する。

「その方法だと、身元が確かな人が必要でしょ?」

「君には――」

「アマナス君」

 オーメンがアマナスを遮る。

「事情があるのは分かったよ」

「……」

 少女は俯いてしまった。

「つまり、血判が使えないから、ペンを使いたい。けど君には魔力がない。でも、その魔道具なら魔力を与えられるから、君にもペンが使える。そのために、魔力を与えてくれる人がいないか、相談しに役所に出向いた。そういうことかな?」

「うん。そんなかんじ」

「よし、じゃあお姉さんが魔力を分け与えてあげよう」

 少女は、ぱぁと表情を明るくする。

「ありがとう。じゃあオッケーがでるか、役所に聞きに行こう」


 再び三人は役所へと向かった。

「オーメンさんの魔力では駄目ですね」

 瞬殺だった。

「どうしてですか!?」

少女(リコ)さんの場合、父親不明の状態で出生届が出されています。つまり、母親の魔力は既に確定していることになります。したがって、納税証明書を作るためには、父親の魔力が必要なのです」

 リコは落胆の表情を浮かべた。

「……じゃあ、俺が魔力を与えます」

 俺にしか出来ないならやるしかない。とアマナスは思った。

「それなら問題ありません。詳細な手続きは裁判を経てからになりますが、よろしいでしょうか?」

「かまいません。」

「日程はニ日後に手紙でお知らせいたします。ご住所を教えてくださいますか?」

 ニ人はまだ、どこに泊まるか決めていないことを思い出した。

「手紙が来るまでは、リコちゃんの家に泊まってもいいかな?」

 オーメンが問う。

「でもウチは狭いし、人を呼べるような状態じゃないんだけど……」

「べつに私の家も綺麗なわけじゃないから、気にしないよ。それに、リコちゃんがいれば、きっと居心地もいいから」

「それなら、いいよ」

 リコは渋々了承した。

 リコは役員に住所を教えた。


 そして三人はリコの家へと向かうのだった。

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