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前半

「殿下・・・体は男性ですよね。その、ここの女騎士学校の湯浴み場は、女性のみになっています」


「何だと!第三王子である俺、いや、あたしに、稽古の後、湯浴みするなと言うのか?入るぞ!」


 ガラン!


「「「キャーキャーキャー」」」


「何だ。あたしの心は女だ!キャー、キャー、騒ぐな!」

「しかし、チンがついておりますわ!」

「チンなど、飾りだ!心は女だ!」


「ヒィ、もう、体洗ったから、皆様、出ますわ」

「「「はい!」」」


 ・・・


「仕方ありませんわ。あの王子が出るまで、お風呂は待ちましょう」

「「「はい」」」


 ・・・あの馬鹿・・ゴホン、趣の変わった王子には困ったものだわ。

 ある日、突然、心は女だと言い始めたの。


『女神様は、女性だ!私の心に、女神様の御心が宿った!』


 と言い始めたの。


 第三王子、ロレンツ王子は、騎士学校に所属していたけど、無理を通して、女騎士学校に転入したわ。


 剣術の稽古で無双を始めたの。


 カンカンカン!


『おりゃ、おりゃ!何だ、剣術主席はたいしたことないな。俺は、ゴホン、あたしは男騎士学校で、100人中52位の腕前だぞ!』


『ヒィ』


 一学年主席のケリーが相手にならない。口惜しいけど、剣の実力では、男性に劣る。

 私たちの役目は、王妃や姫君、令嬢たちに侍り。男性が入れないところで警護するのが主任務・・・


 騎士団長を通して、陛下に意見具申をしたけども


『迷惑を掛ける。だが、もう少し、我慢してくれ。あの性根を叩き直す算段をしている』

『・・・御意、まさか・・』

『そのまさかだ』

『あの学校に入学させる』


 ・・・・


 騎士団長は、その手段は教えて下さらなかったわ。あ、ロレンツ王子が、チンを隠さずに出て来たわ。

 逃げるわ。旦那様以外のチンを見るなんて、はしたないわ。


 ガラガラ


「ふう、良い風呂だったぜ。お前達も入れば・・・って、誰もいないな」


 その時、犬の鳴声が響いた。


【【【ワオ~~~~ン、ワオ~~~~ン!】】】(僕たちはここにいるよ!)


 ガラガラガラと戦車の音が続く。


 女騎士学校の校庭に、ケルベロスに引かせた戦車が入って来たのだ。

 戦車の後ろには、メイスやガントレットで武装した聖女達が数十人従っている。


「「「ヒヒヒヒヒヒヒヒィ」」」

「お高くとまっている女騎士学校だぜ」

「塾長!ここが、女騎士学校です」


「・・・うむ」


 塾長と呼ばれた戦車の上に乗っている聖女は、身長190センチ、金髪、碧眼の女性、太っているのではない。

 引き締まった体だ。

 その有り余る聖魔力で、髪がライオンのようにたなびいている。


 大声で口上を述べた。


【我は聖女塾の塾長、聖なる女王!聖女の中の聖女、聖女王である!】


 キーンと屋内にいる女騎士の耳に響いた。


「「「聖女塾!」」」

「・・・あの、極悪非道の聖女の名を被ったゴロツキ集団が、何故、女騎士学校に!」


 カンカンカン!女騎士学校の非常用の鐘が鳴る。

「全員、剣を携行し、校庭に集合!実剣である!訓練に非ず!訓練に非ず!」


 女騎士学校の生徒も集まり、緊張が走るが、


【二等聖女、アメリア!前へ!】

【【【ワンワンワンワン!】】】(撫でて、撫でて!)


「はっ、孤児院対応、二等聖女アメリア!女騎士学校の皆様、通達ですわ。

 第三王子ロレンツ殿下は、聖女塾に強制転入ですわ・・・

【王命!代読アメリア!ロレンツ殿下は、本日付を持って聖女塾の所属とする!】

 異議のある者は、ぬっころですわ!」


「「「えっ」」」

「カチ込みじゃないの・・・」

「「「どうぞ!どうぞ!」」」


 ・・・・


 王子は、湯浴み直後、裸のままだった。

 そのまま、校庭に連行された。


「うむ。面妖な!裸とは、それほど、早く聖女服を着たいと言う訳だな。

 アメリア、王子のチンの所感を述べよ!」


「塾長、まあ、これが、チン・・おかしいですわね。子供の頃見たお父様のチンは、もっと、こう、皮がむけて・・・このチンは、孤児院のトム君達の湯浴みの補助をしたときに、拝見したタイプに近いものですわ」


「何だと!これからだ!俺をどうする気だ!」


 王子は、叫ぶが、聖女王は肩をがっしり掴んで、王子の目を見る。


「ヒィ」


「我は感動した!男の身でありながら、女神様の御心に近づこうなど、素晴らしい!だから、チンが子供なのだな!

 我が聖女塾にようこそ、このまま、ケルベロス戦車で伴に来るが良い」


「ヒィ、服を着させろ」

「ア~ハハハハ、善は急げだ。このまま行くぞ!」


「ヒィ、助けて、女騎士達。俺は王子だ。助けろ!」


 プイ!と女騎士たちは一斉にそっぽを向いた。王子は嫌われていたのだ。


「王命ですから、仕方ありませんわね」

「「「ねえ」」」

「そんな~」




 ☆王都繁華街


「おい、聖女塾が通るぞ!」

「裸の男が、ケルベロス戦車に乗っているぞ!」

「また、聖女塾がやりやがったな!」


 ガラガラガラ~~~~


【王子よ。壮観であるな。王都市民に、王子の新たな旅立ちを祝ってもらおうぞ】

「ヒィ」

 王子は、聖女王の隣で、裸の状態で立っている。

 御者は聖女王がやっているので、まるで、戦車の主人のようなたたずまいである。


【我は聖女王!聖女の中の聖女なり!王都市民の皆に、紹介する!聖女塾に新しい仲間が誕生した。第三王子ロレンツなり!聖女ロレンツの誕生である】


【オラオラ~拍手が無いぞ!】


 周りの聖女達が、王都市民に拍手を呼びかける。


「あの馬鹿王子め」

「馬鹿王子と聖女塾が、手を組みやがったぞ!」

「見ちゃだめ。チンを晒して・・・変態なのね」


「おう、ロレンツ王子は、心は女性であるぞ!」


 パチパチパチ~~


 まばらに拍手の音が聞こえる。




 ☆聖女塾聖女力判定の儀


 ピピピピー

「塾長の聖女力は、3000ですわ。さすがですわ!」


「「「オオオ」」」

「「「さすが、塾長だぜ!」」」


「うむ。我は聖女の中の聖女である!」


「次は、ロレンツ王子だぜ!」

「男にあるわけないだろう!」

「諦めたら、そこで死合い終了だぜ!」

「さあ、やってみよう」


 聖女力をスカウティングという水晶型魔道具で判定し、今後の聖女教育の糧にするのだ。


 ピピピピー

「聖女ロレンツの・・聖女力、0,判定不能です!」


「「「何!」」」


 王子は何とか、聖女塾入学を拒もうとする。


「俺には聖女力はない・・・だから、入学資格はないな」


「安心しろ。ロレンツ、良い方法がある」

「不正はダメだ・・ぞ、と、どこに連れていく!」


 王子は、ワッショイと屋上まで連れて行かれた。


「聖女パンジージャンプをすれば、聖女力が増しますわ。命の危険にさらされれば、男でも、最低1はつきますわ」


「聖女ばんじージャンプって何だ。何故、俺の足にロープをつける。おい、屋上の端まで、連れて行くな。落ちるだろうよ。おい、背中を押すな。ガアアアアアアアアアアーーーー」


「最低三回はやれば、聖女力は引き出されますわ!」

「もう一丁!」


 ・・・


「ハア、ハア、ハア、ハア、もうやめて下さい」

「ロレンツ王子、聖女力、0.8・・・四捨五入で1ですわ。入学おめでとう!」


「「「おめでとう!!!」」」

「これから、仲間だぜ!」


 ・・・俺は第三王子、ロレンツだ。

 剣術の成績が、悪くて、女性の心があるからと、言い訳をしてしまった。

 無理を通したら、女騎士学校に入学できた。

 この世界、女の裸は娼館ぐらいでしか見られない。王族が行くワケには行かない。

 ウヒョーと女騎士学校の、女風呂に入れて、嬉しかったが・・・イカレタ聖女塾に入学してしまったぞ!


最後までお読み頂き有難うございました。

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