プロローグ
プロローグ 俺の日常
「うわっ!アンチメッシュ食らったわ・・・」
VCで響き渡る俺の悲鳴。
アンチメッシュは完全な全ロスでアイテム回収不可だ。
「それはド・ン・マ・イ♪」
それとは対象的に楽しそうな声が返ってくる。
自分は被害ないからってちょっとムカつく。
「俺、そこそこ良い装備とかテイム生物持ってたんだけど・・・・・」
軽く同情を誘ってみるが
「まあ、それがゲームの醍醐味でもあるし仕方ない♪」
またもや楽しみそうな返事が返ってくる。
お前もアンチメッシュで全ロスすれば良いのに、と思ってしまう。
「で、予備の装備とか生物いるの?」
全ロスしてテンション下がった俺に対して相方が訊いてくる。
「まあ拠点まで戻れば装備とかはあるけど、ちょっと今日はもうやめとくわ」
今日はVC繋ぎながら朝からかれこれ10時間以上やってるしきっかけはアレだがやめるには良いタイミングではある。
「おーけー」
相方からも賛同を得られた。
「ねえ、そもそもこのゲームってなんでアンチメッシュって存在するの?」
ゲームとVCを終了させようと思った時にそんな質問が飛んでくる。
「これだけプレイしてて今更か?」
とても2000時間以上プレイしてる人間のお言葉とは思えない。
「認識の確認も兼ねて」
そんな返事が返ってくる
まあ長時間のゲームにも付き合ってもらってるし少々のわがままは仕方ないか。
「前にも言ったが俺達がやってるのはPVEだけど、元々はこのゲームはPVP発祥だから物資の奪い合いが原点なのよ。で、そうなると物資を奪われたくないから皆んな隠そうとするわけ」
時間をかけた装備や拠点を一瞬で奪われるPVPなら当然の考えである。
「でもそうなると悪知恵を働かせてマップのテクスチャーやポリゴンの隙間からマップにある岩の中とかに侵入して物資や拠点を埋め込む連中が出てきたわけ。当然ながら通常プレイヤーからは不満が上がるし、運営としても不正行為だと判断してそういうグリッチが出来ないようにマップの裏側にあるものは自動削除されるようになってる」
ついでにその仕様のおかげで生物が誤ってマップの裏側にスポーンしてマップが重くなるのを防ぐ事にも役立ってる
「なるほどね〜」
なんか質問してきた割に半ば適当な感じで返事が返ってくる。
まあこれだけゲームしてれば疲れてくるのも仕方ないか
そういう時はグダグダと会話が続く前にスパッと終わるに限る
「じゃあ俺は落ちるから明日、大学でな」
「了解〜。おつかれ〜」
VCから離脱してPCの電源を落とす。
ふとスマホの時間を見ると23時過ぎ、これだけゲームしてれば流石に眠い
「さっさと風呂入って寝るか」
明日は2限からだったか、と考えながら風呂に入るために部屋を出た