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孤独の果て  作者: 伽藍堂
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13.初勝利

ちょっと最近色々ありまして、毎日投稿が途切れました。

ですので、本日は2話分投稿します。

次話は12時投稿です。

ずん……


 やがて、ファイアリザードの大きな巨体が揺らぎ、崩れ落ちる。念のためにしばらく警戒していたが、どうやら動きそうな気配はない。

 慎重に近づき確認するが、完全に活動を停止していた。


「や、やったの?」

「ああ、完全に死んでいるな。こっちの勝ちだ。」


 その言葉にあまり喜びの声は上がらなかった、どうやら喜びよりも安堵の方が強かったようだ。まあ無理もない、あれだけの相手との戦闘に、踏むべき段階をすっ飛ばしていきなり臨んだのだだ。

 命が危ないかもしれないというギリギリの戦闘は、たとえ慣れていたとしても消耗を激しくする。ましてやそれが初めてとなれば、どれだけ消耗したかは想像に難くない。

 戦闘時間もかなりかかったから、余計に余力は残っていないだろう。実際に、殆どへたり込みそうになっている者すらいる。


「お疲れ、ひとまずはこれで休憩だな。消耗が激しいから、長めに取ろう。

その後で、さっきの戦闘について話し合いだな。」

「え……、でも1戦戦っただけだぜ?いいのか?」

「むしろ必須だ。戦闘時間も長かったし、何より初めてのことだらけで相当に神経を使ったはずだ。

このレベルの相手になると、僅かな集中力の欠如が命取りになりかねない。戦闘中の動きについても、最初で話し合った方が、むしろこの後の探索を楽にするはずだ。」


 口こそやや強気のケネスの発言ではあるが、ウェインの言葉にほっとしたようだ。やはり、スタミナの限界とまでは言わなくとも、消耗は激しかったのだろう。

 他のメンバーを見ても、とても短い休憩で回復できるような様子ではないし、やはりここでしっかりと皆が回復するまで休憩するのが賢明だろう。

 脱出までの道のりを考えれば、こんなことではいけないという考えも分からないでもないが、それが自分達の実力なのだ。

 まずは自分たちの未熟さを受け入れ、少しずつ歩みを進めるしかない。無理をしたところで、絶対に続かないからだ。


「さて、その前にやりたいことがあるんだが……この中で隔離結界を張れる者はいるか?最低ランクでいいし、小規模で構わない。持続時間も、10分程度でいいが。」


 そう問いかけると、フェリアのみ手が上がる。流石にそこそこ高度な魔法なので、総合職とは言え中等部レベルでは、使える人間は多くないのだろう。

 隔離結界とは、人類が編み出した障壁系の魔法の中でも、最高の防御力を誇る系統の魔法だ。現在生存圏に貼られている魔物除けの結界も隔離結界の一種である。

 但しこの魔法、いくつか種類はあるもののどれも非常に用途が限定される。

 まず、一人で発動する場合、最低でも分単位の時間がかかるために、戦闘では一切使えないというレベルである。

 魔法のアレンジによってある程度変更できる部分もあるが、あまり融通が利かずよくよく考えて使わないと色々と問題を引き起こす。

 かけ方によっては内外の空気の流れすら遮断するので、下手に狭い範囲でかけようものなら中の人間が危なくなったりもする。

 だがそれと引き換えに防御力に関しては折り紙付きだ。

 最下級の隔離結界であっても張りさえすれば、このダンジョンの魔物程度ならば束になって集ろうが全く問題にならない。


「よし、それじゃあ俺がファイアリザードの解体を行う間、隔離結界を張ってくれ。はぎ取って確保したい部分が多いんでな。」

「それは構わないんだけど……えっとそれは必要なこと、なのよね?」

「ああ、皮素材なんかの有用な素材もあるが、それはあくまでおまけで、一番の目的は肉素材だな。

俺たちは、今回の探索カリキュラムを終えるのに必要な分の食料と、良くて多少の予備くらいしか持ち込んでいないだろう。

しかし、俺たちの実力でこの難易度のダンジョンを探索し、脱出するにはどれだけ時間がかかるか分からない。だから、特殊な処理をせずとも食べられる魔物ならば、可能な限り食料として確保していく。」

「た、食べるの?」


明らかに怯んだ様子のエッダの問いかけに、肯定を返す。


「幸いファイアリザードならば、特殊な処理も器具も要らないからな。俺が持ち込んだ道具で、大体なんとかなる。

因みに、ファイアリザードの肉はあまり市場には出回らないが、高級品だぞ?希少性を抜きにしても、味の評価が高いからな。」


そう説明すると、一応納得したようだ。無理やり納得した、のかもしれないが

だがまあ、納得しようがしまいが、食料がそれしかないなら食べるしかないのは変わらないだろう。


「えっと、もしかしてファイアリザードと戦う事にしたのって、実はそっちが大きな理由かい?」

「いや、この難易度の戦闘に慣れるのにうってつけの相手だった、というのが一番の理由で間違いない。

ただ、それに加えて得られるものが大きいから、活用しない手はないというだけだ。」

「そ、そう。」


 どうやら実は素材を得るのが目的で、ファイアリザードは難敵の部類であったことを期待したようだが、残念ながら最初に説明したことはまぎれもない事実だ。

 しかし、食料不足も極めて重大な問題ではあるので、それなりに大きな理由になったことは確かだが。とは言っても、これですら気休めにしかならない程度ではある。

 どれだけ討伐した相手から食料を確保すると言っても、限度がある。何より、恐らく長期間の探索になってしまえば、皆の心が持たない。

 言うなれば、あくまで多少の時間稼ぎできるという程度。しかもそれで稼ぎ出せる時間は、長めに見積もっても精々数日が関の山

 だがしかし、その時間稼ぎが、わずか数日が、今は何よりも大事なのだ。

 それが、今自分たちに出来る最善の手であり、それが出来なければその先を考える事すら出来ないのだから。

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