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孤独の果て  作者: 伽藍堂
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11.最初の難敵

「ファイアリザードか。」


 魔物の気配を察知し、相手に気づかれないように目視できる位置まで接近し、確認したのがつい先ほど。そして、ウェイン以外の5人は初めて相対する高難易度の魔物に、圧倒されている。


 ファイアリザードとは3mを越す巨大な体躯を誇り、火炎のブレスと前足の爪、しっぽの薙ぎ払いが特に危険な魔物だ。また、その巨体を生かした体当たりなども、決して油断は出来ない。

 皮膚も相当に固く、中途半端な攻撃は特別な防御をせずともはじいてしまう。

 しかも、火炎を操る魔物ではあるが、冷気が弱点だったりはしないという、なんとも理不尽な相手だ。難易度で言えば、B級の中間あたりというところだろう。


「よし、それじゃあ手筈通りに。火炎のブレスは結構危険だから、俺の真後ろには決して入るなよ。あれはさすがに躱すしかないんでな。あと、尻尾の薙ぎ払いも結構厄介だから、一定の距離……そうだな、10m以内の範囲には決して入らないこと。」

「ちょっと!?何言ってるのよ!?大体さっき戦闘は可能な限り避けて進むって言ってたわよね!?あんな化け物相手に、わざわざ戦いに行くとか、正気なの!?」

「そうは言ってもな、この難易度だとその攻撃の威力は別として、攻撃手段の癖の無さを考えれば、最も戦いやすい部類だぞ?むしろ、戦いの感覚をつかむためにはうってつけの相手と言っていい。これに勝てないようじゃ、脱出なんて夢のまた夢だ。」


 その言葉に、絶句するフェリア以外の4人。どうやらB級相当、という意味がどういうことか、正確に理解していなかったようだ。

 まあ、それ自体は仕方のないことかもしれないが、それでも立ち向かわねば前に進めない。


「じゃあ行くぞ。フェリアは、攻撃陣を指揮してくれ。流石にこれまでのようにただ攻撃するだけじゃ、ダメージを与えるどころか、当てるのも一苦労だろうからな。」

「分かったわ。」


 後衛の指揮はフェリアに任せることにする。

 流石に、このクラスの魔物を相手にしながら、攻撃機会を作り出し、更に全体の指揮まで取るというのは難しいからだ。動きそのものが下位の魔物と比べれば格段に速くなるし、知能が高い魔物も多い。流石にあれこれと意識を分散させては、思わぬ不覚を取りかねない。

 かと言って、先の探索のように無暗に攻撃するだけでは、討伐するどころか攻撃を当てることすらままならないだろう。

 そのあたりはすでにフェリアが色々と試していたので何をすればいいかが分かっているはずだし、彼女の指揮ならば仲間も言うことを聞くはずだ。


 そして、自らに身体強化の魔法をかけ、相手に向けて接近する。


「オオオオオオオ!!!」


 こちらに気づき雄たけびを上げるとともに、火炎のブレスを放ってくる。それを突っ込むスピードを落とさずにかわし、接近戦の間合いまで肉薄する。

 相手に威圧の魔法を強めにかけることで注意を引き付け、万一にも仲間の方に行かないようにする。これだけ巨体の相手となると、その動きを止めるのも一筋縄では行かないからだ。

 相手の攻撃を躱すことに重点を置き、攻撃は申し訳程度だ。この探索に持ち込むことが許された武器程度では、有効なダメージを与えるのが難しいからである。

 何回かの攻撃を躱したのちに、ファイアリザードの方がやや距離をとり息を吸い込むしぐさを取る。


「ブレス注意!」


 自分の真後ろには入らないように伝えてはいたが、このスピードと体躯の魔物と戦う以上ポジションはかなり目まぐるしく変わる。

 その動きについていけず、仲間が射線上に入ってしまう可能性も0ではないため、必ず警告を発する。


「ガアッ!?」


 ブレス直後のやや無防備な状態になったファイアリザードに、魔法が数発着弾する。このレベルの階層で、最初から失敗せずに魔法を発動させた点については、流石は総合職である。

 もっとも、そこまで大きなダメージを与えたようには見えないが、それでも通用しているだけ良い結果だと見るべきだろう。

 戦いのスタートラインとしては悪くない、後はこの戦闘中にどれだけ改善できるかにかかっている。ファイアリザードの注意を再度引き付けるために接近し、改めて威圧の魔法をかける。


 基本はこの工程の繰り返しだ。だが、当然その難易度はこれまでとは比較にならない程高い。今回はたまたま無防備な状態を捉えたが、攻撃機会によっては躱されることも普通に出てくるだろう。

 ウェイン自身はこのレベルとやりあうことは慣れているので問題ないが、他のメンバーは緊張からくる疲労も大きいはずである。

 だが、それでもこの戦いからは引けない。

 まだこのダンジョンにどんな魔物が生息しているか分かったわけではないが、それでも難易度的に考えればある程度想像はつく。それを考えれば、仲間にも言った通りファイアリザードを処理できないようでは、すぐに行き詰まるだろう。

 この戦いに勝利すること、またこのレベルで通用する戦術を確立することが、今後の探索には必須。そして、ウェイン以外のメンバーでそれを実現できる可能性があるのは、現時点ではフェリアだけだろう。

 だが、フェリアも一人で相手を打ち倒せる程のレベルかと問われれば、それは厳しい。だからこそ、何とかして他のメンバーも追随してほしいものである。

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