第四回 蝉
新しい俳句のスタイルの提案です。
那須野 与一郎様からの特別寄稿です。
なお、この句は掲載の許可を頂いたものです。
暮れなずむ 初秋の空に 蝉の声 那須野 与一郎
(俳句)
画像はアブラ蝉とカブトムシです。
句では、夕暮れに「カナカナカナ」と鳴くヒグラシ蝉のことです。
ヒグラシの鳴くころには、暑さも収まりかけ晩夏から初秋へと季節は巡ります。
直井 清風先生から掲載の許可を頂いた短歌です。
木漏れ日の キャンプ場 朝餉の火 そそる食欲 あがる歓声 直井 清風
(短歌)
爽やかな木漏れ日が降り注ぐキャンプ場。普段とは違う場所、空間での、これまた普段では見る機会の少ない燃える揺らめく炎。その火で作る朝ご飯。
未知なる体験に、思わず歓声をあげる子供たちが居た。
山の端に キツネノカミソリ ひそと咲く 訪のう人は ありやなしや 森 三治郎
黒磯公園裏の散策路。カタクリの群生地。今は訪れる人もない。
キツネノカミソリは春から葉があり、今の時期は葉が無く代わりに花茎を伸ばし黄赤い花を咲かす。
同じヒガンバナ科のヒガンバナは逆で、花が先で葉が後。共に有毒植物。
名前の由来は、葉が無く(先に枯れ)花だけ→たぶらかされているかも→キツネ。もしくは有毒→キツネ。との説です。
植物の生態も面白いですよ。
もっと、自然に目を向けると、面白いことがたくさんありますよ。
禍々し 噴煙のよう 積乱雲 終戦記念日 惨く青空 森 三治郎
(短歌)
もくもくと沸き上がる積乱雲。火山の噴煙を思わせる。そして、核のキノコ雲をも思わせる。
8月15日、お盆。
そして、終戦記念日。
『日本のいちばん長い日』という映画があります。日本の、重大な決定をめぐる経過を描いた作です。観る価値ありです。
あと、『失敗の本質』という本があります。
これは、太平洋戦争の戦術を複数の執筆者が、感傷を交えずに検証をしたものです。
なぜ、敗戦に至ったのかを事細かに描いてあります。
終戦記念日には『戦争反対』とか『悲惨な戦争を繰り返してはいけない』などの、いわば感情論ばかり目立ちます。
追悼ミサのようなものです。
どうすべきだったのかとの、次なる展開が欲しいものです。
それには、なぜ敗戦に至ったのかを理性的に検証すべきと思うのです。
どんな不快なものでも、真正面から見つめ、検証、分析をしてこそ、我々は何を為すべきかを描くことができると思うのです。
終戦記念日に、そんなことを思いました。
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夏編が終わったら、小冊子にする予定です。