う○この散歩道
春、桜色の葉が生い茂る木々に囲まれ花びら舞い散るその道に、うんこがいた。それは恐らく犬のうんこ。それは微風に押されてコロコロ転がり、その全身に花びらを纏っていた。それはまるでピンクのドレスを纏い、楽しそうに踊っているように見えた。
夏、深緑の葉が生い茂る木々に囲まれジメジメと湿気感じるその道に、うんこがいた。近づけば芳香漂う艶々としたうんこ。人同様に、その暑さと湿気に不快感を示すかのようにして、そのうんこはだらけていた。
秋、紅葉で赤く染まった木々に囲まれカラリとした風吹くその道に、うんこがいた。乾燥し始めた季節の為か、そのうんこは潤いを無くし干からび、微風に身を任せるようにしてコロコロ転がっていた。
冬、灰色を感じさせる木々に囲まれ刺すように冷たい風吹くその道に、うんこがいた。それは私を待っていたとでも言うようにして、堂々と道の真ん中にいた。
私がそれを避けて通ろうとすると、乾き切っていたうんこはコロコロ転がり、私の行く手を遮った。反対側に避けようとするも、それは風の悪戯か再びコロコロ転がり、私の前に立ち塞がった。
「ねぇ、うんこ。おとなしくしててよ」
その言葉が通じたのかうんこはそこに留まり、私は再びうんこを避けて通り過ぎてゆく。
ふと振り返ると、それは一人が寂しく誰かに構って貰いたいのか、それとも一人遊びのつもりなのか、そのうんこは来る人来る人を通せんぼするようにしてコロコロ転がり続けていた。
帰り道、再びその道を通るとあのうんこは何処かへと消えていた。どこの犬の物かも分からないそのうんこ。また何処かで、人を通せんぼしながら遊んでいるのかも知れない。
2021年05月21日 3版 ちょっと文字修正
2020年05月02日 2版 ちょっと改稿
2020年04月29日 初版
気付けば100本目の投稿。記念すべきとも言える100本目は、うんこに関する物だったかぁ……