エピローグ ~ 伝説の巨人
人類が地球上から消え去って数か月後。
宇宙人と異次元人と地底人と海底怪獣と古代人とミュータントと暴走AIと感染者の連合軍……超知性たちは、いまや廃墟と化した地球人の施設の奥より、人型の巨人兵器を発見した。
巨人を解析したところ、恐るべし結果が判明した。
この巨人は、どうやって地球人がこの技術を手に入れたのかは不明であるが、彼ら連合軍を数回滅ぼしてもまだ足りる程のスペックを有していたのだ。
連合軍では、地球人は宇宙の……いやこの我々が認識できる次元において癌となる存在という認識で一致していた。
身勝手で独善的。
放置すればいつかはこの世を滅ぼす存在になりえると判断したからこそ、宇宙人は外宇宙から、地底人と海底怪獣は母なるガイアの胎内から、ミュータントと感染者もガイアの意思に触れて、人類から見れば暴走したと見えるAIはその超人類的思考実験の結果より、一致団結して人類を滅ぼすことと決定したのだった。
では、そんな利己的な地球人が、なぜこれほどまでに強大な兵器を使用しなかったのか。
それは、この破壊の嵐を起動させることより、利他的に自らの滅びを選択したのではないか。
我々は計れなかっただけで、人類にはまだ良心と、進化・共生の道があったのではないか。
我々の選択は誤りだったのではないか。
人類基準で言えば一瞬ではあるが、彼ら超知性にとっては長い時間の議論の結果、ひとつの結論が出ることとなる。
― 人類再生計画 ―
巨人兵器を解析したところ、彼の生体コンピュータや神経伝達回路には地球人のDNAが使用されていることが分かった。
それを培養し、人類を再生するのだ。
また、巨人兵器は数か月もメンテナンスされていなくて機能停止寸前の状態ではあったが、彼の生体コンピュータは機能停止までひとつのワードを延々と吐き出し続けていたらしい。
ガングリヲン……と。
超知性たちはいつの間にか、彼をそう呼ぶようになった。
そして彼……ガングリヲンは再生された人類だけではなく、全宇宙・次元レベルの伝説となったのだ。
……結局超知性たちの考察は考え過ぎであって、人類が宇宙を滅ぼしてしまうのは、また別の話である。
博士の精神体「てへぺろ(・ω<) 」
~ 完 ~