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手づかみなスパイス

作者:

 Ryo Fukui - My Favorite Tune


 を 聴きながら



 **




『手づかみなスパイス』




感情は熱に違いなく

渦巻いて 心の奥と直結している やがて身体に

心の動きに器は敏感であるに違いなく

流れることの無い思いは渦になって言葉として吐き出される

心の吐き口は言葉しかない

透けて見える筈の無い思いは


スパイスを散らし

独自にブレンドした合いびき肉のパテを鉄のフライパンに並べる


自覚の無いままに

蝕まれていくものは

軋みを

歪みは

脆い器を更にもろく

薄い壁は時として壊れやすく

否定することで築き上げた壁は

手を引かれ目を開く



成形する前まで十二分に愛情を込め粘りがでるまで念入りに

こねられたそれらは

やわらかく空気を含みつややかに微笑む



あたたかみが無い筈の無機質なモノに篭る

柔らかな夜の空気に

唯々静かな時が流れ

あたたかみがない筈の無機質なモノに篭る

夜が流れた


見えないからこそ、言える言葉がある



音こそが重要なのか

それとも焼き色か

否、それそのものが教えて呉れよう



本当にほんとうの

初めは唯の衝動だったのよ

とろとろと流れ落ちる赤を見てふと涙がでたの

いたみは感じることなかったのじゃないかしら

赤がとてもとてもあたたかくて

それだけが心に留まるの

上ってくるのは悪魔か

移ろいがちな意識の狭間に

白くひかる人影

異形のものの

消えぬものがどれだけ欲しいか

ゆるゆると意識をたゆらせて



スパイスは変わったものしたくないと

そう決めていたが

悪魔が先ほどやってきて散らされたそれ



ばんと弾けた夢の狭間に

意図を置き忘れて

戻ってきたのは


なにかを忘れたおきものよ


そっと、考えを巡らせて

ほんとの答えなんて出ないけれど



くるりと返せば

柔らかく微笑む

夕焼け色に染まる美しいフォルム



今は、そうした方が、良いと思って

どうやったら、領域を守れるの

答えは未だに出ないままでうろうろと迷いながら手探りしてる

ひどく空虚で

冷たい

何も無い

ひどくひどくちっぽけな

自分の存在

冷たい夜に怯える

闇に呑み込まれそうで

眠れぬ夜が過ぎていつしか引きずりこまれる



大分迷ったのだけれど

ソースはデミグラスではなくトマトソースの海


夢の中で

誘われた先には

灰色に鈍く光る沼のような水のかたまり


ひかれるままに度々振りかえるどこかで見た面


にやとわらったその顔が離れることなく

死んでしまいたいと思う時、止められる言葉なんてあるのだろうか。


踏み留まることが出来るのは、本人だけ。

突き放すのは違うでしょう。


…浮かばないよ、そんな言葉


ふっ、て、消えてしまいそうなのに


浮かばない

何も無い中から何かを探り出すことなど出来ない。


だから今は、見つけ出す段階で構わない

分かったつもりになっているだけで、本当の意味で理解出来ていないのだとしたら


それは、分からないでいるよりも酷い状態だとそう


分からないことを嗤う それ程愚かしいことは無く


いつまでも同じ状態で居る等、有り得ず


甘い考えでも、それ以上は、手に余ろ



すこし深めのお皿に盛り着けて

赤い湖に浸そう


今にあった考え方しか、手で掴むことなど出来ず

心がはなれると、言葉もはなれる



嬉しそうな顔をした小悪魔が笑う

君がいれた謎のスパイスの効果が

不安で仕方ない


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