★コミックス1巻発売記念SS『迷探偵アルアクル』★
大変ご無沙汰しております。
コミックス発売記念にSSをアップさせていただきます。
こちら、コミックス106ページ最後のコマの後の話となっておりますので、ぜひコミックスをお買い求めの上、お楽しみください。
こんにちは、アルアクル・カイセルです。
皆さんは『名探偵』という言葉をご存じでしょうか。
どんなに難しい問題や事件であっても解決してしまう、そんなすごい人のことを言います。
さて、どうしてわたしがそんな話をし始めたのかといえば……。
「ファクルさん、大変です! 事件発生ですっ!」
今、わたしたちの目の前で。
クナントカさんとその従者の人たちが、地面に倒れているのです……!
しかもクナントカさんの頭からはクナントカさんの形をした煙みたいな、なんだかよくわからないものが飛び出していて。
「クナントカさん、とてもしあわせそうな顔です。何だかこのまま見送った方がいいような……」
「見送っちゃ駄目、絶対!」
ファクルさんが慌ててそう言うので、わたしは渋々諦めました。
あのまま見送っておけば、この先、ファクルさんとふたりきりで旅ができたような気がするのに……! なんて思っていませんよ? ええ、本当です!
「嬢ちゃんの目が激しく泳いでいるのが気になるんだが」
ファクルさんの気のせいですね。
それはさておき、わたしは告げます。
「この大事件を解決するには名探偵が必要だと思うのです!」
「いや、そんなものは必要ないぞ?」
「なっ、どうしてですか!?」
「もう犯人はわかってるからな」
「さすがファクルさんです! すごいです! 尊敬します!」
「とか言われても誤魔化されないからな?」
ファクルさんの目が、わたしを真っ直ぐに捉えます。
どきっ。
わたしの胸が高鳴ります。
ファクルさんに見つめられることで胸が高鳴ったことは、これまでにもありました。
でも、どうしてでしょう。今日のこれはこれまでとは全然違う感じです。
いつもならもっと見て欲しい、ずっと見ていて欲しいと思うのに。
今日は、今だけは、そんなに見つめないで欲しいと思ってしまうのです……!
「この殺人事件の犯人は嬢ちゃんなんだから」
……はい。実はそうなのです。
いつかファクルさんのお店ができたら、院長先生やみんなを招待したくて。
だから今度こそ本気で自信作を作ったというのに……!
出来上がった料理を食べた途端、クナントカさんたちが倒れてしまうなんて、誰が予想できたでしょうか!?
「嬢ちゃんは当分料理禁止だな……」
ファクルさんの言葉に項垂れます。
ですが、同時にわたしの頭をぽんぽんと撫でてくれたおかげで、そこまで落ち込まずに済んだのでした。








