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街の中に入った私達は最初にラモットさん夫妻の商店に行くことになりました。
街の様子は本当に中世のようで、石やレンガのようなもので出来た建物が並んでいます。
建物も二階建て以上のものはほとんどなく、文明の差を感じますね。
あ、獣人さんもいるではないですか!
モフモフです!
二足歩行の猫です!
種類はアメショーに近いですかね?
他にも街行く人々の衣服も観察していましたが、すごくシンプルです。
シャツのようなものにストンとしたスカートやズボン、少し刺繍がされている程度。
ディーンさんとゼストさんのように装備品を付けている人もいますが、ラモットさん夫妻のように装飾のされた衣服を着用している人はほとんどいませんでした。
これは私浮いてますね。
「目立ってます?」
「そうですね、カエデさんの衣装は可愛らしいですからね。技術もすごそうですし、値段も高額のものでしょう?」
そんなことは無いのですけれど。
「ラモットさん達の衣服も綺麗ではないですか」
「そりゃそうだ、ラモットさんはこの街で一番の大富豪だからな」
「ははっ、大げさですよ。……まぁ、そんな私達の着ている衣装より明らかに上質の衣装ですからね、カエデさんのは」
マジですか。
ってことは服とか布とか売れるかもしれませんね。
量は必要ですが、私にはアレがありますから。
そう『増殖釜』。
増殖釜:課金装備品以外のアイテム、装備を入れると5分毎に一つずつ増える。初期限定アイテム、譲渡不可。
このアイテムはゲームが開始されてすぐに販売されたもので、チート過ぎるという理由ですぐに販売中止された課金アイテムなんですよね。
高かったのもあって持ってる人は極々少なかったです。
大量に増やすには時間がかかるかもしれませんが、なんとかなりそうです。
戦闘装備以外のコーデ装備もたくさんもってますからね。
コーデ装備のほとんどが無課金アイテムなので増やすこともできるでしょう。
世界で生きるためにはある程度のお金も必要になってきますしね。
「さあ着きましたよ、ここがラモット商店です」
大きい。
すごく大きいです。
周りの建物がほとんど二階建てなのに、ここだけ三階建てです。
それにすごく賑わっています。
店内は何でも屋さんといったところでしょうか。
品数も豊富です。
「ふふ、すごいでしょう?自慢のお店ですのよ」
リアさんが嬉しそうに話してくれる。
「さぁ、上がってください。二階が事務所で三階が私達の居住スペースなので三階に行きましょう。おーい、この馬車を倉庫の方へ持っていってくれ」
ーーーーー
三階に案内されてお茶を出された後、謝礼として金貨5枚ほどいただいた。
最初は10枚渡されそうになったのだが、貨幣価値を聞いて遠慮してしまいました。
この世界の貨幣価値はおよそ
銅貨:100円
銀貨:1,000円
金貨:10,000円
大金貨:100,000円
といったところらしい。
モンスターは特に苦もなく倒せましたし、街までの距離もそんなにありませんでしたからね。
それに、この国の平均月収が金貨15枚なのにそんなにもらえませんよ。
平均月収とかもラモットさんやディーンさんに教えていただきました。
リアさんは用事が有るとの事で席を外されましたし、ゼストさんは喋ってくれません。
ゼストさんはとても無口な方のようです。
この後ディーンさんとゼストさんのお二人は、冒険者ギルドに任務報告に行くとの事で、一緒に連れていってくれることになりました。
なんてありがたいのでしょう。
ラモットさんも隣の建物の商人ギルドに用があるらしく、一緒にいくそうです。
「そういえばカエデは冒険者ギルドに登録でいいんだよな?」
「え?商人ギルドに登録するつもりでしたけど……」
「え?あんなに強いのにか?カエデならすぐにランクがあがるぜ?」
「というより、商人ギルドに登録するということは売るものがあるということですよね?なにも持っていないようですが……」
あぁ、そうか。
売るものを決めないといけないんですね。
とりあえずシンプルで可愛らしいコーデ装備にしようかな。
アイテムバッグ:10種×100個のものを収納可能。時間経過は無い。
倉庫:課金するごとに増える。カエデは700種×500個の枠を所持。時間経過は無い。