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街が見える位置にまで到着しました。
街の周りには堅牢な城壁が建てられていました。
モンスターや盗賊なんかもいるらしく、治安はあまりよろしくないみたいなので当然といえばそうなのかもしれません。
規模の大きな街にには城壁は付き物だそうです。
小さな村などにはまだ設置出来るほどの余裕はないようで、旅の途中に宿を取ったりするオススメできないといわれました。
これはラモットさんに聞いた話です。
「カエデ、よしおに引いてもらうのはここまでにしよう」
そう声をかけてきたのはディーンさん。
「え?街までまだかかりますよ。ラモットさんの店まで引きますよ?」
馬車には車輪が付いているので、全員で引けば進まない事もないでしょうけれど。
すごく大変だと思うんです。
中に荷物はいっぱい積まれていますから。
「あー、それなんだがな。さっき言いそびれたがユニコーンは聖獣って呼ばれてるんだ。カエデは知らないみたいだかな」
「はぁ」
「簡単にいうとだな、この国の宗教に関係あるんだが宗教には神様がいるだろ?その御使いと呼ばれるモンスターの総称を聖獣って言うんだよ」
ほう?
「そんな聖獣が街中を馬車引いて歩いてみろ、大混乱だ。それによしおはカエデのものってことだろ?それが貴族やその上にバレてみろ、政治利用されかねねぇぞ」
なるほど、それはめんどくさいことこの上ないですね。
でも、その事を貴族に報告すればディーンさん達には有益なのではないでしょうか。
「ディーンさん達は黙っててくれるんですか?」
「ああ、確かに貴族とかに話せば報奨金なんかも貰えるかもしれねぇがな。恩人を売るほど落ちぶれてねえよ。……そこそこ稼いでるしな」
そういったディーンさんの後ろでゼストさんが頷く。
「私達もですわ。むしろ、後ろ盾にならせてくださいな。貴族には及びませんが私達これでもアーヴィンの街で一番の商店なんですよ」
「おお!それは良い。カエデさんが街にいる間は手助けさせていただきましょう」
どうしましょう、すごく良い人達すぎて申し訳なくなってくる。
疑ってごめんなさい。
「ってことで、ここからは俺達が引く」
「分かりました。」
ーーーーー
「おお、これはこれはラモットさん。仕入れに出ていたと聞いてましたが馬はどうされたんですか?」
「やぁ門番殿、途中でモンスターの群れに襲われてしまいましてな……。馬はそこで」
「なるほど、それはご愁傷さまです。ところでそちらの方は?」
「あぁ、こちらはカエデさん。襲われた時に助けてくださったのですよ。それで彼女を私達の紹介としてアーヴィンの街に入れたいのですが……」
門番さんとのやり取りはラモットさんにおまかせです。
仕方ないよね、この世界のことあんまりわからないですし。
そうこうしている内にお話は終わったようで、私は無事街に入れることになったようです。