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あ、そういえば。
「あの、これから行く世界って人にレベルとかあるんですか?もしあるなら私はどのくらいの位置にいるのでしょうか?」
これってすごく大切だと思うんです。
あまりに逸脱していると、世界から排斥されかねませんから。
「そうだな、鍛えていない一般人は秋道殿のゲームでいうファーストの20レベルと言ったところかの」
なるほど。
ちなみにファーストっていうのはメイン職業のことで、最初に選択できる四つの職業をさしています。
種類は『魔道士』『忍』『聖者』『騎士』からなりますね。
ファーストのレベルを50以上にすることで、連動したセカンドという職業に就けるようになります。
『魔道士』からは『賢者』、『忍』からは『暗殺者』、『聖者』からは『神官』、『騎士』からは『聖剣士』というように。
もちろんセカンドのほうが基礎ステータスが高く、優秀なんですがファーストのほうが使い勝手のよいマップや条件などもあるので一概にはいえませんね。
「鍛えてるような人達はどうなのでしょう?」
「うむ、異世界には騎士団や冒険者などがいてな。その中堅クラスであればセカンドの40から50といったところか」
なかなか強そうですね。
まぁ私のほとんどの職業が70を越えてますし、高いもの『賢者』は90ですからね、私すごく強いんじゃないでしょうか。
ただ『騎士』は50で『聖剣士』は30くらいなので弱いですが……。
まぁ生きれそうで少し安心ですね。
「一握りいる最強クラスの者達はセカンドの70から80と言ったところであろう。とはいえ、向こうの世界の人間は転職などはできんからな。応用は利きずらかろう」
なるほど、一つの事を極めていくかんじなんですかね?
「まぁ早々秋道殿に勝てる者は出てこぬよ。実戦経験によってはどうなるかはわからんが」
それを聞いて安心する。
特に人と争うつもりはないけれど。
「秋道殿、そろそろ時間のようだ。あまりここには長居できぬからな」
「そうですか、色々ありがとうございました」
「いや、元をたどれば我の招いた事ゆえ。すまぬな。もし何かあれば助けてやりたいがあまり干渉できぬでな。ここまでだ」
「はい、これだけして頂いたので十分です。最後に貴女の名前、教えてもらえませんか?」
お世話になったのに少女のままではしのびないので。
「む、我か。我の名はーーーー」
そこで周りが光はじめました。
「今から異世界へ送る。浮遊感はあるだろうが大丈夫だ。人里の近くには降ろそう」
いよいよなんですね。
「向こうへ行ったとき最初に就いておきたい職と装備を言っておくれ、叶えよう」
「じゃあ『魔道士』でお願いします。装備は『花の舞』で」
「うむ、承知。達者でな!」
ーーーーー
そうして視界が途絶え、気がつくと森の中にいました。
手に紙が握られていたので開けてみると……
『秋道殿
此度は我の不徳の致すところにより、多大なる迷惑申し訳ない。
詫びのかわりと言ってはなんだが言語能力を授けておいた。
その世界のどんな言語も理解できるであろう。
どうか、どうか豊かな生をまっとうしてくれ。』
そういえば言葉の事とか全く気にしてませんでした。
私ってば抜けてますね……。
「ありがとうございますアーリーさん」