30才 男
ああ、この世の中の人間全て消えてしまえばいいのに。
無精髭を触りながら、公園のベンチでやることもなくボーッとしていた。
30才になっても正社員で働けないし。
バイトの掛け持ちも面倒くさい。
バイトの掛け持ちって言ったってコンビニとファーストフードの掛け持ちで、自分よりも年下の人間に使われる毎日。
なので、貯金も底をついたし。当然のことながら彼女もいない。
目の前をリア充の奴等が通ると殺したくなる。
ああ、天気もめちゃいいのが逆に腹立つ。
10年ちょい前のオレはこんなんじゃなかった。
夢も希望もあった。
ああ、くそ。どうすれば地球が滅びるのだろう?
銀行強盗でもするかな?
だけど、そんな頭もない。
人生がゲームのようにリセットできたらな。
ああ、このまま死んでも誰も悲しまないだろうな。
てか、死んだことすら気付かれないかも。、
『お前面白いこと思ってるね』
不意に誰かに話しかけられた。
辺りを見回しても人はいない。
人はいなかった。
目の前に猫に似た生物が浮いてた。
そう浮いてたのだ!
オレ夢でも見てるのかな?
手を伸ばしその生物を触ろうと思ったが、触れられなかった。
空をつかむ感じに似ていた。
『お前死にたいのか?それとも人を殺したいのか?』
その生物は喋り続けていた。