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「ユキちゃんが天然だって事がよくわかったよ……まぁ、この話はまた今度じっくり聞かせてもらうとして、ユキちゃんには今から指定する素材を取ってきて欲しいんだ!」
いつの間にか天然属性をつけられた僕だったけど、幼い頃からよく言われていた為、それほど抵抗はなかった。
もう、そろそろ自分が天然だって事を認めた方が良いのかな?と思うくらいである。
「えっと、素材ですか?」
「うん。君にあげたこのクリスタルブレードだけど、びっくりする位耐久度が減っちゃってるからね……このままだと2~3日もせずに壊れちゃうよ!」
ええ!?それは困る!
僕のSTRは相変わらずの0だから、今この装備を失うと狩りができなくなってしまうじゃないか!
僕は一度気を引き締めると、改めて藍さんから必要な素材について聞いてみた。
「必要なのはインビジブルバードの羽根だよ。この武器にも使われているクリスタルフェザーって奴だね!多分3番目の街辺りにいると思うんだけど……名前からわかるように兎に角見つけづらいんだ。鳥系モンスターだから空への攻撃手段も無いといけないんだけど……大丈夫かな?」
藍さんからの説明を聞き、3番目の街なら王都から逆走しちゃえば早く着きそうだし、空中戦も空脚を使えば何とかなりそうだと、一先ず安心する。
「はい、何とかなりそうです」
「そっか、よかったよ!じゃぁーーー
藍さんの言葉を遮り、レイさんの掌に居たナビィが「んにゅぅ?」と目を覚ました。
その可愛らしい声に、僕はおもわずくすりと笑い「おはよう」と声をかけた。
「ふぁ……ゆきしゃまおはようごじゃいまふ」
まだ寝ぼけているのか、ナビィはレイさんの手の上で「んー!」と伸びをする。
そしてもう一度僕を見て、隣にいる藍さんに気づくと「あーーっ!」と大声を出した。
「あ、貴方は先ほどのっ!」
勢いよく飛び出したナビィは僕の前で両手を広げ、威嚇するように藍さんを睨みつけた。
「ユキ様に対して、何て破廉恥な行為をっ!!許せませんっ!」
私が守るっ!と言うように、僕と藍さんの間で立ちはだか……飛びはだかったナビィに、僕は苦笑する。
「ねぇねぇ!ユキちゃん!!この子は?この可愛い子どうしたのっ!?」
藍さんは玩具を見つけたと言わんばかりに瞳を輝かせ、目の前で飛ぶナビィを指差して僕に説明を求めてきた。
「えーと、この子はナビゲーションピクシーのナビィだよ。フォレストベアーの討伐報酬として運営からプレゼントされたんだ」
興味津々にナビィを見つめる藍さんに、聞こえているのか不安になりながらも僕のスキルが運営によってユニークスキルにランクアップされた事と、その様子見として彼女をもらった事を説明した。
「へぇ、そんな方法でユニークスキルを手に入れたのか。まったく、ユキは予想できん奴だな…」
「うーん、ユキちゃんの事を知ろうと思えば思うほど謎に包まれていくよ……」
レイさんと藍さんがそれぞれの感想を告げ、ナビィについての紹介が終わったところで次に彼女達の説明をナビィにしてあげる。
剣や装備を作って貰った人だと教えて、何とかナビィが落ち着きを取り戻した所でインビジブルバードの事について聞いてみた。
何て言ったって彼女はナビゲーションピクシーである。
モンスターの居場所などの道案内はおてのものだろう。あとは僕にそれに応じる力があるかどうか……だ。




