prologue
2032年8月12日。
世界中から注目を受け、あるVRMMOが発売された。
従来の物とは違い、自立したAIを持つNPC。
サーバー分けされず、何万何百万もの人が一同にプレイすることができる。
広大なエリアを仲間と冒険するも良し、生産に励むも良し、釣りや作物の育成などなど自分だけのプレイスタイルで遊ぶことの出来る最新のVRMMO『NewWorldOnline』。
初回出荷数約1000本という、需要と供給が全くもって不釣り合いなゲーム。
この約1000という数字は、このゲームがまだ製作段階の頃に予約を開始した為、その初期予約をしていた者たちの人数である。
その中には僕、小鳥遊優希も入っていて今日の朝一番に手にすることが出来た。
サービス開始は正午丁度で、今は11時59分
夏休みも残すところ後2週間程だが、このゲームをする為、既に宿題などは終わらせてある。
12時まで20秒前、僕は早鳴る鼓動を感じつつもベットに横たわった。
ヘルメット型のゲーム機をかぶり、側頭部へと手を回して起動スイッチを入れる。
徐々に力が抜けていくような感覚と共に、意識が遠のいていった。
一瞬の浮遊感を感じた直後、僕は真っ白な空間にログイン前の体制で寝ていた。
「こんにちは!ニューワールドへようこそ!」
機械チックな少女の声と共に、同い年位の少女がヒョイっと顔を覗き込んできた。
「私はこのゲームを始めた皆様をサポートさせていただきます『ナビィ』です。よろしくお願いします」
スッと差し出された手を取り身体を起こす。
僕の身長が155㎝と高校1年生にしては小柄な方だが、彼女と並んで立つとどんぐりの背比べになってしまう。解せぬ。
「えっと、よろしくお願いします。小鳥遊優希です」
「はい!それではユウキ様、まずはこのゲームにおいて自分自身となるキャラクターを作成していただきます」
ナビィが指を弾くと、彼女の隣に真っ白なマネキンが現れ僕の前にパネルが現れる。
そのパネルの中には[性別][種族][外見][ステータス][スキル]の項目があり、どうやらこれを弄ってあのマネキンを自分自身のキャラクターへと操作するようだ。