序章
はじめて小説を書きます。
よろしくおねがいします
ほじくれど、ほじくれど、底の見えない穴・・・
穴って、黒い。どす黒い。なんで黒いのかというと、穴だからだ。
穴からは糞が出る。なんでだ、黒くて臭い、暗くて臭くて黒くて臭い。
こわい。。
「おへその穴とおしりの穴は同じにおいがするよ。」
ぼくはへにょえの耳元で、そっとつぶやいた。
へにょえは僕の目をじっと見て、真顔で、僕の目をじっと見て、時間が止まった。
へにょえは、穴からやってきた。ぼくも。そして、たくさんの穴が開いている。数えきれないくらい。
ピリリとした、ゼロコンマ二秒後、お腹の下あたりがあったかく、じんじん痛む。僕のおなかをパンチした後、へにょえはテレビの方を向いた。
へへへ。僕は満足げに笑って、そのあと、真顔になった。
あっ、虚無がやってきたよ。
めんどくさいことだらけだから、テレビを見たり、ネットをしたり、映画を見たりするんだけど、それすらめんどくさくなった時、虚無はやってくる。
生まれた時からずっと、近くにいるもんだから、虚無がどんな顔で、どんな声かさえわからなくなる。
ねえ、かずおの家にあそびにいったときさ、お茶出されたんだけど、コップがプリンの容器だったんだよね。
なんでだろ。思い出し笑い、ニンマリ。
へにょえが帰った後、ぼくは頭上にニジマスを浮かべて、くるくると回した。
お昼にやったのは初めてで、ニジマスは、銀河へたどり着けなかった。
タケコプターみたいに回転しながら飛び立ったニジマスは、太陽の光で焼け焦げ、僕の見えるところで死んだ。そのにおいは秋の風に漂って、僕の鼻孔をくすぐった。
まったく悲しくないんだけど、おなかがすいた。
おばあちゃんが死んだとき、火葬場で、僕はお菓子を大量に食べていた記憶がある。
生き物が死ぬとおなかがすくのはわかるけど、おばあちゃんが死んだときは、悲しかった。
なんでだろう。
近くのコンビニのハムタマゴロールを毎日買うのが習慣となっていたぼくは、きづいたらコンビニにいた。
みっちょりとらっぷにつつまれたハムタマゴロールが二つ、並んでいる。
ハムタマゴロール以外の物には目もくれず、僕はそれを一つとってレジに向かった。
「たばこください、あのあおいやつ。」
「すみません、お手数ですが年齢確認をお願いします。身分がわかるものはお持ちですか?」
「・・・」
となりのレジの女の子は、煙草を売ってもらえず、しょんぼりとした様子で店を出て行った。ぼさぼさの髪、緑色の目、低い鼻、そのかわいらしい鼻は、両方の穴から鼻毛が飛び出していた。彼女の、薄い水色のシャツは、襟の部分がパジャマみたいな感じでふにゃんとなっていて、とてもみすぼらしい姿だった。
「あっ、マイルドセ・・・、あっ、メビウスの八ミリください。」
ぼくは、早歩きで店を出て、女の子を追いかけ、タバコをあげた。
ぼくらは、ちかくにある、さびた青い象のいる公園のベンチにこしかけ、煙草を吸った。
彼女はたばこを右の鼻の穴に突っ込み、火をつけ、おいしそうに煙を吸い込み、左の穴からもんわりと吐き出した。
「なんでそんなへんなすいかたをするの?」
「うちのくにでは、みんなこのように吸うよ。」
「どこからきたの?」
「あの、国道にかかってる横断歩道橋の、間だよ。そこに時空の裂け目があるよ。」
「ふうん」
彼女は、タバコを一本吸い終わると、お礼も言わずに歩道橋に向かって歩いて行った。
ぼくはその歩いてる姿を、タバコを吸いながら眺めてた。
つづく
みてね