未来が見える 後編
お待たせしましたー?
人で賑わうサカーステント。ダリはそれを空から眺めていた。どうやら、そのテントの中にその人物はいるらしい。
「めんどくさいなぁ…人目についちゃう」
そこで、ダリは思いついた!と手を叩く。そしてサーカスが終わるまで楽屋のほうで待つことにした。
大きな拍手喝采でダリは目を覚ます。いつの間にかダリは寝てたらしい。ふとテントの入口に目をやると、観客が満足そうな顔で出てくる。どうやらサーカスが終わったようだ。ダリが怠そうに立ち上がると、目の前に小さな影が現れた。
「困る。裏側。来る」
その少年は単語でダリに注意をしてくる。藍色の髪で片目が隠れた少年。紙に描かれた少年とそっくりだ。
「貴方がクレーで間違いありませんね?」
クレーとよばれた少年は、少し驚いた顔をしたがすぐ頷いた。
「そう。用。なに?」
クレーが首を傾げると、ダリはクレーから少し離れてメガホンをかまえると大きく息を吸う。その様子を見てクレーは眉を顰めた。
「なに。それ」
「君に能力をあげるんだ」
それを聞くとクレーは青ざめ、視界から消える。すると後ろで声がした。
「能力。ある。能力。いらない」
後ろを向くと、クレーが木の枝に逆さまにぶら下がっている。クレーは重力に逆らえる能力を持っているらしい。ダリがそちらにメガホンを向けるとクレーはメガホンの上に立つ。
「二つ目の能力をあげるよ。」
そういってダリはメガホンを振り上げクレーを払うと、そのメガホンでクレーを叩き落とした。クレーが地面に倒れると、ダリはクレーを押さえつけメガホンをむける。
「や、め…」
「『貴方に未来予知という能力を授けます』」
頭に響くダリの声。強い衝撃。痛い。激痛に襲われる。目の前が暗くなっていく。ダリはクレーの顔をじっと見てから空に消える。クレーの記憶はそこで途絶えた。
「おかえり。」
ダリが窓から入ってくるとキーファーは笑顔で言う。ダリはつられて少し口角を上げる。
「さて……次」
キーファーはもうボロボロで小さくなっているクレヨンを見て、淋しそうに笑った。
クレヨンがなくなりそうです