真実は…? 後編
素晴らしい存在感を放つアホ毛
「んぉー?」
大きなメガホンを持った男の子が一人、空に立っていた。
ダリはノーチェが描かれた紙を片手に池を覗き込むようにして、地上を見回す。そして、一人の人物に目がとまると紙と人物を交互に見た。
「あれかな。ちょうど一人でいるや」
ダリは人物めがけて降りて行く。優しくそっと地面に降りて、前で本を落として呆然とするノーチェに目をむけた。
「貴方がノーチェで間違いありませんね?」
金髪にけもみみ薄い灰色の目、それにやけに存在感を放つアホ毛。間違いなくノーチェだ。しかし、ちゃんと確認するのが礼儀。とリーリーに言われたので、ダリはちゃんと確認をする。
「…誰ですか。」
ノーチェは警戒心を強めて一歩さがる。
「ダリ・アビリタだよ。」
ダリはあっさり名乗り、一歩近付く。
「……はい。僕がノーチェですが…なにか」
ノーチェは少し眉を顰め、一歩さがる。
「うん!そうか!じゃあ遠慮なく!」
ダリはそう言ってメガホンを構えた。
大きなメガホンを前にして、ノーチェは目を見開きまた一歩さがる。それを見てダリは一歩近付く。そして、大きく息を吸う。
「『貴方に真実が見えるという能力を授けます』」
脳に直接響く声。身体にちくちくっと棘が刺さるような感じ。目の前が真っ暗になる。
ノーチェがどさっと地面に倒れた。
「終わり。」
そう呟いて倒れたノーチェに会釈をして、地面を蹴って跳んだ。
「ただいま」
窓から帰ってきたダリがベットに転がっていたキーファーに言う。
「名乗っちゃうのはマズイよぉー」
キーファーが脚を上下させていきなりのダメだしをした。ダメだしをされてダリは少ししょぼくれる。そんなダリを見て、キーファーが付け加えた。
「ま、次から気を付けてよ。」
キーファーがにぃっと笑うと、ダリは深くお辞儀をしてキーファーの部屋から出ていく。
「さて、つぎつぎぃっと」
話を重ねるにつれダリはきっとキーファーの望み通りの子になりそうだ