真実は…? 前編
今回は真実(人の心の中)を見えるようにするらしいです。
珍しく明るい部屋。
ベットに転がる黒髪の女の子。
その横に座る片目の少女。
女の子は落書き帳の上でクレヨンをサラサラと滑らせている。
「…次は。真実。真実が見える“能力”かな」
キーファーはニヤニヤしながら呟いた。その様子を見てリーリーは苦笑する。
「ふふ…どうやったって人の真実が見えちゃうから、だぁれも信じれなくなるんだろーな」
ぼそっと言い、きゃは!と笑うと後ろに倒れた。そして、ベットから転げ落ちると銅鑼にまっしぐらに走っていく。
「耳…塞ぎなさいね?」
リーリーはため息交じりに告げた。キーファーは忘れたらしく、慌てて耳を塞ぐ。そして、おもいっきり銅鑼を叩いた。
耳を塞いでも少し頭に響く音だ。リーリーは眉をひそめた。
「…銅鑼いがいにはないのk…ー」
「お呼びですね。」
リーリーが文句を言い終わる前に、扉をちゃんと開けてダリが現れる。キーファーは笑顔でダリを迎えた。
「やぁ、待たなかったよ。仕事だ。」
そう言ってキーファーはダリにクレヨンで絵が描かれた紙を渡す。紙には金髪に少し灰色が混ざった白い目をした、けもみみの人物が描かれていた。横には汚い字で『しんじつ』と書かれている。
「そいつの名前はノーチェ。そいつに『真実が見える』ようにしてほしい」
ダリは紙からキーファーに目を戻すと、了解といいたいらしく敬礼をする。
「では、いってきます。」
そう言ってダリは、また窓から飛び出していった。キーファーは笑顔でそれを見送る。こんな事を軽々しく出来るなんて怖いな。とリーリーは改めて思った。