不老不死 後編
映画のような派手な登場。ていうか、王子さんにはすぐに助けにくるような、門の前にいる人とかいないのか…?随分、騎士、くるの遅いけど…
『ーー。』
『…ー』
大きいメガホンをもつダリは城を見下ろしていた。
「アリみたい。」
空から見る人達はアリに見えるらしい。ダリはキーファーにもらった紙に目をやった。王子のような服を着ているからこの城の王子なんだろうな、とダリは思い城の真ん中らへんの屋根に突っ込んでいく。
「これが手っ取り早い。」
ダリは屋根を突き破り瓦礫とともに部屋に降り立った。それを目の前で目撃して目を丸くする人物が一人。ダリは握っていた紙を広げてその人物と見比べた。
「そっくり」
ダリが入ったその部屋はまさに、王子の部屋だったのだ。ダリは王子にお辞儀をして、一応確認する。
「貴方が、ガルディニヤさん。ですよね?」
いまだに目を丸くしている王子は、錆びたロボットのように不自然に頷く。それを見てダリはもう一度お辞儀をした。
「屋根を壊してしまいすみません。仕事なので。」
そう言ってダリはひきずっていたメガホンを自分の前に構えると、大きく息を吸う。
「では…『貴方に不老不死という能力を授けます』」
メガホンを通してガルディニヤの頭に直接、ダリの声が響く。周りに音は流れない、不思議な状況。ガルディニヤはその場に倒れた。そこに、さっきの屋根が壊れる音を聞きつけた騎士達が駆けつけてくる。
「あれぇ、ここにもリーリーさんみたいなのがいた?怒られちゃう?…まぁ、ダリの仕事は終わったので帰ります。」
そう呟いてダリは地面を勢いよく蹴った。空に飛んで行くダリを唖然としながら騎士達は見送る。そんな騎士達にダリは無表情で手を降って空の上に消えていった。
「おかえり。ダリ。登場が派手過ぎだよ。なるべく静かに済ませてきてよ。」
帰ってきたダリにキーファーはさっそく駄目出しをする。ダリはメガホンをひきずって、キーファーの横にとまった。
「どうやって…」
「んー…なんか、一人でいる時に静かに部屋に入るとか」
キーファーが顎に手をあて、天井に目をやりながら言う。ダリはそれを聞くと何度か頷いて扉の方へむかった。
「次から気をつけろよ…あ、あとヴァレがよんでた」
「リーリーさんが…」
ダリは嫌な予感しかしない。そう思ったダリは元に戻った扉を眺め、それを開けるのを戸惑った。そんなダリを見てキーファーはダリを出るよう急かす。キーファーには逆らえないダリは渋々、部屋を出た。
「さて…次はなんだろ」
その後、ダリはリーリーにこっぴどく叱られたとさ…




