プロローグ
神様とは思えない神様。引きこもりな神様です。
「この世は、つまらなすぎるんだよ。だから、僕がもっと面白くしてあげるんだよ。」
「ー…いい考えだろ?ヴァレ。」
光が差し込まない部屋。
電気もつけずに、ボロボロになったクレヨンで絵を描く色白な女の子。
女の子は黒い髪を後ろで束ねている。
ぱちっ
唐突に部屋に明かりがついた。
暗がりにずっといたので、その女の子は眩しそうにしかめっ面をする。
「またか…。電気をつけろと何度いえばいいんだ…」
そういって片目が髪で隠れた少女がため息をつく。
「ごめんね。でも、この方が落ち着くんだ」
女の子は少女に笑ってみせる。
そして、クレヨンをおくと、少女に近付き抱きついた。
「僕、いいアイディアが浮かんだんだ」
ニコニコ笑う女の子を少女は身体から引き剥がし、首を傾げる。
「アイディア?」
そう聞くと、女の子は目を輝かせた。
「この世は、つまらなすぎるんだよ。だから、僕がもっと面白くしてあげるんだよ。」
「この世に“能力者”を作るんだ。きっと、その人は違う者を遠ざける目を向けられるんだろうね。…いい考えだろ?ヴァレ。」
女の子がニヤリと笑う。
それを見て少女は背筋が凍る。可愛い笑顔でそんな残酷な事をいえるのだな…と、少女は思った。
「まぁ、君は僕に逆らえないからね…。従ってもらうよ」
少女は改めて、この女の子が怖くなった。