3話 襲撃者
クラウストの西門から脱出した2人は、そのまま3時間ほどジープを飛ばした。
「ガス欠か」
「そうね。ここからは徒歩で行きましょう」
次の目的地は、第二都市ルベラに決まった。
麻紀菜曰く、そこに知り合いの武器商がいるという。
「ここからだと大体30キロくらいね。途中にある村で休憩してから向かいましょう。そこにも私の知り合いがいるから、安全なはず」
「分かった。念のため麻紀菜はそこにあるAKを持て」
「言われなくても。出会い頭の戦闘だと、私の場合スキルより銃の方が使えるから」
ジープの中にあったAK47を持つと、食糧などが入ったバックパックを背負った。浩二も自分の荷物が入ったバックパックを持つと、夕日が差し込む森の中を歩きだした。
◆◇◆◇◆
あれから4時間ほどが経過し、麻紀菜の知り合いがいるという村に到着した。
「とりあえずここで一泊しましょう。部屋は別々だから、残念だったわね」
「別に何も期待してないから、問題ない」
「あらひどい」
「待て」
不満そうな顔をして何かを言おうとした麻紀菜を遮る。
「何か来る。村人を家の中に避難させてくれ」
「……分かった。終わったら援護する」
「助かる。頼んだぞ」
紅剣を実体化、そしてエピ・ソードも鞘から抜く。
まだ敵は遠い。この村は周囲がコンクリートの塀で覆われており、狙撃される心配はない。
だが、数秒後、浩二はすぐ近くで猛烈な殺気を感じ、咄嗟に跳躍した。
「誰だ!」
身を翻し、襲いかかってきた敵を見る。
黒衣を纏った女のようだ。両手には神崩と思われる二振りの大剣を持っている。
「お前が、吉樹浩二か」
「……誰だと聞いている。聞こえなかったのか」
「聞こえてたさ。私は神崎終禍、暗殺者狩りの最中でな、お前を殺しに来た」
「笑わせる。そんな下らないことに付き合ってられるか」
「見くびるなよ?私は序列18位、麓城とかいう雑魚と一緒にしてると一瞬であの世行きだ」
「面白い。やってみろ」
浩二は構えた。凄まじい殺気が辺りを包みこみ、ぶつかる。
そして2人は、同時に地を蹴った。