2話 クラウストからの脱出
現在、クラウストは銃弾の嵐に見舞われている。時々グレネードが飛んできては、周囲に無数の破片を撒き散らす。
そんな嵐の中を、堂々と歩く2人。
村上麻紀菜と名乗った女と、吉樹浩二である。
◆◇◆◇◆
数時間前、浩二はその女と出会った。
付いていくと、39階の一室に招かれた。浩二は中に入ったが、その瞬間に、突如部屋の窓が派手な音を立てて割れた。
女は村上麻紀菜と名乗ると、浩二に銃と予備のマガジンを渡した。MP7は、片手でも撃てるほど軽く、貫通力も高い。
そして1階まで降りて、初めてこの事態に気が付いた。
「……ミラ軍か」
浩二は今までの戦闘で、ミラ軍はソ連製の武器を好んで使っていることを知っていた。
「どうするの?」
「決まってるだろ」
浩二は紅剣を実体化させ、左手にMP7を持った。
「とりあえずクラウストから出る。目に映った敵は全員殺す」
「……了解」
意見が一致した2人は、正面扉から堂々と出て行った。
◆◇◆◇◆
「右、装甲車」
瞬間、ズドン!という音と共に走ってきた装甲車が粘土のように潰れる。中から飛び散ったのは、おそらく人間の肉片だろう。
その後ろにいた重火器で武装している5人組は、対応が早かった。だが、銃を撃つ直前に浩二は引き金を引き、3人を倒していた。そして残りの2人は、紅剣を一薙ぎすることによって片付いた。
「前方にスナイパー。やってくれ」
浩二は700メートルほど先にいるスナイパーが潰されたのを確認すると、近くのジープに乗っていた敵を撃ち殺し、乗り込んだ。
「行くぞ」
麻紀菜が乗り込んだことを確認すると、ジープは急発進した。