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蕣の蔓 #1
「誕生日おめでとう!」
パン、とクラッカーを鳴らす。
遥香は照れながらありがとう、と呟くように言った。
二人だけの、秘密のパーティー。
なんて可愛らしいのだろうか。
自らの子だから、というのもあるだろう。
だが、それ以上に遥香はおとなしく、控えめで、礼儀正しく、誰にでも優しいのだ。
誰がこんな子を憎めるだろうか。
――――だが、この子はいつでも、極端に言えば今も、
犯罪者の娘として世間から冷たい眼差しで見られるかもしれないのだ。
時効はもうすぐだ。
”完全犯罪”が成り立つ瞬間でもある。
蕣の蔓のように儚い犯罪とは違うのだ。
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遙香は、厚い本を閉じた。
「お母さん・・・なんてことを。」
独り言かのように吐き出した言葉は、雨の音でかき消された。
一話一話が短く、初作品ですので読みにくいですがいかがでしょうか?
作者は小学5年生とまだ幼いので、誤字、脱字その他何かありましたらご連絡お願いします。
島崎優羽