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 そんな事を考えながら、丹波山村から帰宅した僕は再び日常生活に戻り、新たな月曜日を迎え何時ものように山の手線と地下鉄を乗り継いで千川の高校の門を潜った。教室に入ると、何時ものように馬の合う何人かの生徒がグループを作って談笑している。僕は席に着き、鞄の中から川端康成の文庫本を取り出して読む事にした。

 やがて授業が始まり、授業が一つ一つ過ぎて行く。授業が終わって昼休みの時間になると、担任の黒田先生がやって来て、僕に職員室に来るように言った。

 黒田先生の後について行き、職員室に入ると、僕が第一志望で入る大学の文学部に推薦入試で入れる事を告げられた。僕は嬉しい気持ちになったが、まだ進路が決まっていない親しい友人の事を想うと素直に喜べなかった。

 僕は黒田先生に深々と頭を下げて感謝の念を伝えると、午後の授業を真面目に受けた。普段ならだらしない気持ちで受ける午後の授業が、今日に限って真面目に受けてしまった。

 帰宅すると、僕はLINEで両親に推薦入試の事を伝えた。一時間程しておめでとうの返信が来ると、僕はその日にするべき事をすべて放棄して、心まで裸になりたい気分になった。所謂クライマーズハイ的な感情だろう。

 僕は高ぶる気持ちを抑えるために水を一杯飲み、自分の部屋のベッドに寝転がった。そして目を閉じ、自分が今まで過ごしてきた良き日々を思い出してみた。家族、学校、その他などなど。僕の人生は良い所だけかいつまんでみれば順風満帆そのものだった。

 だがそれだけでは無い事に気付いた。僕の中にある一つの傷跡のような思い出が心の中に有った。杉山が受けた、悪漢に銃撃されるような衝撃と痛みが。


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