表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲ・ラ‼︎  作者: 紫が字
5/8

第5話 箱の中身はなんだろな

「で、ガラガラはこれから何すんの?」

「博士を戻す」

「博士を戻す?」

「ちょっと待ってて」


 そう残して路地裏の奥へと向かっていったガラガラは、一つのアタッシュケースを手に持って戻って来た。

 そして「博士」という単語を告げ、そのアタッシュケースを夢宙の眼前に差し出した。


「博士。戻らなくて困ったなー。戻し方、知らない?」

「え、最新の博士ってアタッシュケースに変身できるの?」

「そのような事例は報告されていない」

「じゃあ、博士の連絡先でも入ってる感じ?」

「博士が入ってる」


 噛み合わない会話に、夢宙とガラガラは首を傾げ合う。


「確認なんだけど、博士って人間だよな……?」

「ゲラだという記録はない」

「機械でもない?」

「ない」


 夢宙は顔を顰め、目の前のアタッシュケースを神妙な面持ちで見つめる。


「虫でもない?」

「ない」

「……ハムスターでもない?」

「ない」

「人間?」

「人間」

「てか博士って誰」

「俺を製造した人」


 ガラガラの言葉から導き出される答えと、目の前のアタッシュケースの関係が結び付かず、夢宙は知恵熱が出そうになりながら思考した。

 夢宙は難しいことがあまりわからない。

 なので、このままアタッシュケースを眺めていても、おそらく正解は導き出せないだろう。


「あのさ……これ開けていい?」


 我慢ならなくなった夢宙は、もう解答を見てしまおうと、アタッシュケースを指差してガラガラに確認を取る。

 しかし、そんな夢宙にガラガラは、アタッシュケースをギュッと抱きしめ「ダメ」と表情を崩さずに告げた。


 夢宙は絶望した。ラフな絶望である。


「嘘だろ⁉︎ こんなに気にならせといて⁉︎」


 夢宙は、頭を抑えながら「思わせぶりかよ……!」と地面に向かって嘆いた。


「何が入ってんだ……」

「博士」

「もう答えは出てるのに……!」


 正解はすぐそこにあったが、手が届くことはない。

 仕方がないと諦め、夢宙は気を取り直してガラガラとの会話を再開した。


「……で、博士の戻し方を探したいって?」

「そう。俺が起きたときから、博士は眠ったまま」

「あぁ、へぇ。さいですか。んじゃ、まぁ起こし方を探すのは確定として、私って何すりゃいいんだ?」

「生きてる」

「そんな必要最低限なことあんの?」


 (もしかして私、必要とされてない……?)と、夢宙がショックを受けているとはつゆ知らず、ガラガラは舌を出し何やら上に視線を向けている。


「何。なんか上にあんの」

「ある。けど、見えない」


 ガラガラの言葉に釣られた夢宙が、同じように上を見上げる。

 確かに何かある。暗い上に、かなり上空にあるため、物体の判断はできないが、何やら金色に輝く謎の飛行物体が見える。


「まさか、UFO……ってやつか?」


 夢宙が未確認飛行物体の可能性を示唆していると、ガラガラの視線が上空の飛行物体から、後方へと移った。


 夢宙とガラガラが最初に出会った方向だ。

 もう誰もいないはずだが、夢宙の耳にも土を踏んで歩く足音が届いた。

 

 ザッザッという、どこか圧を感じる音が近づくと、ガラガラからザーッというノイズ音のような音が鳴り始めた。


 夢宙は「その音お前が出してたんだ」という言葉や「音圧対決でもしてんの?」という場違いだろうと思われる言葉を飲み込み、足音のする方向へ意識を集中させた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ