第2幕: 高校1年生の春──紅白戦開始①
厳しい練習の日々が続いた。
毎日の練習の中で、陸は次第にチームの一員としての自覚を持ち始め、先輩たちとの距離を少しずつ縮めていった。しかし、その中で感じるのは、常に先を行く先輩たちとの実力差だった。特に高田優斗先輩の存在は大きく、陸は彼のプレースタイルに圧倒されながらも、何とか食らいついていた。
ある日、練習が一段落した後、突然、グラウンドの端に立っていた監督、大山龍太が声を上げた。
「みんな、今日の全体練習はここまでだ」
監督の声に一瞬驚き、選手たちは顔を上げる。大山監督は一歩前に出て、真剣な表情で続けた。
「これから2軍と新入生との紅白戦をやる。メンバーはこっちで決めた。1軍メンバーはコーチと一緒にトレーニングルームだ。すぐに準備しろ」
その言葉に、選手たちの表情が引き締まった。紅白戦とは、通常の練習試合よりも、選手一人ひとりの実力をしっかりと見定めるための重要な場だ。選手たちは、自分がどれだけ通用するか、どんなプレーを見せられるかに焦点を合わせる瞬間だった。
「新入生も、しっかり覚悟を決めろ。お前たちの力を試させてもらうからな」
監督は新入生たちにも声をかけ、紅白戦に参加することを告げる。陸はその言葉に気が引き締まり、心の中で決意を新たにする。
「これが、最初の大きな試練だ」
選手たちは速やかにポジションに分かれ、紅白戦の準備を始まる。