表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スラッガーにはなれないけど  作者: 世志軒
第1部 第2幕: 高校1年生の春

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/241

第2幕: 高校1年生の春──紅白戦終了 1年生のそれぞれの課題④

次に呼ばれたのは、高橋拓海。

「高橋、お前の守備は安定していたな。」


 監督の第一声に、高橋は静かに頷く。


「二塁手としての役割はしっかり果たしていた。冷静な判断力もあり、凡ミスもなかった。」


「ありがとうございます。」


 高橋の返事は落ち着いていた。しかし、次の言葉が続くことは予想していた。


「……だが、打撃はどうだった?」


「……」


 高橋は拳を握る。


 自分でもわかっていた。

 ヒットを打てた場面もあったが、結果的に納得のいく内容ではなかった。


「お前は、しっかりボールを見極めることができる。だが、それが逆に仇になった場面が多かったな。」


「……はい。」


「選球眼がいいのは長所だ。だが、お前は『選びすぎて』甘い球を逃していた。」


 監督の言葉に、高橋はグッと奥歯を噛みしめる。


「この試合、お前は追い込まれてから苦し紛れにバットを振る場面が多かった。初球や甘いコースのボールを狙えず、結局難しい球を打つことになった。」


「……」


「それが原因で、打ち損じたり、打ち取られたりしていたな。」


 試合の場面が蘇る。


(あの時、最初のストライクを思い切って振れていれば……)

(チャンスを作るために、しっかり狙い球を決めていれば……)


 確かに、自分は「慎重に打席に入る」ことを意識するあまり、「攻めるべき球」に手を出せていなかった。


「お前は堅実なバッターだ。それは大きな武器だが、今のままだと“慎重すぎる”のが課題になる。」


 監督は腕を組みながら続ける。


「チームが苦しい時、ただ“ミスしない打撃”をするだけでは意味がない。お前に求められるのは、確実にチャンスを広げることだ。」


 高橋は静かに頷く。


「つまり、お前はもっと“攻めるバッティング”を意識しなければならない。」


「……攻める、ですか?」


「そうだ。初球からでも甘い球は積極的に叩け。慎重に見送るだけが“冷静な打撃”じゃない。」


 監督の言葉が、胸に響く。


「実際、試合を振り返ってみろ。お前が“慎重に選んで”追い込まれてしまった結果、どうなった?」


「……難しい球を打たされました。」


「そうだ。ならば、どうするべきだった?」


「……甘い球を逃さず、初球から狙って打つべきでした。」


 監督は満足げに頷いた。


「そういうことだ。お前の選球眼を活かしつつ、攻撃的なバッティングを意識しろ。そうすれば、もっと大事な場面で役割を果たせるようになる。」


 高橋は、深く息をつく。


(俺は、守ることばかりを考えすぎていたんだ)


 バッティングでも、もっと積極的に「攻める」ことが必要だった。


「……わかりました。」


 高橋は静かに拳を握る。


「次からは、狙い球を決めて、しっかり振りにいきます。」


 監督は満足げに頷いた。


「それでいい。お前ならやれる。」


 高橋は深く頷いた。


(俺は、もっと攻める打撃を身につける――)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ