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スラッガーにはなれないけど  作者: 世志軒
第1部 第2幕: 高校1年生の春

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34/229

第2幕: 高校1年生の春──紅白戦 秘蔵っ子井上の課題とは④

5回表


先頭の8番打者。

 初球、外角のストレートに手を出し、平凡なレフトフライ。


 続く9番打者。

 カウントを追い込まれた後、落ちる球に泳がされ、空振り三振。


 あっという間にツーアウト。


(やっぱり……簡単には打てねえか)


 1年生ベンチの雰囲気が再び沈みかけた、その時――


ここで千堂陸が再び打席に立つ。


(この流れを切るわけにはいかない)


 初球、外角のストレート。千堂は冷静に見送る。


 2球目、内角のストレート。千堂は迷わず振り抜いた。


「カキンッ!」


 打球は三遊間を破るクリーンヒット!


「ナイスバッティング、千堂!」


 1年生ベンチが盛り上がる。


 千堂はすぐに一塁ベースを駆け抜け、相手バッテリーの隙をうかがった。


 「絶対に繋ぐ!」と意気込んだ佐藤悠真だったが――


 結果は、外角ストレートを強引に引っ張り、セカンドゴロ。


千堂は俊足を活かしてスライディングするも、アウトカウントは3つ目。


「チェンジ!」


 1年生チーム、またしても得点できず。


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