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第2幕: 高校1年生の春──紅白戦 2年生の壁⑫
2アウト三塁の場面。 バッターボックスには4番・松岡竜之介。
「ここで一本出せば、確実に1点」
彼の役割は明確だった。
(……俺が決めなきゃいけない)
松岡はバットを強く握りしめる。自分は4番として、ここで仕事をしなければならない。
「松岡、頼んだぞ!」
1年生ベンチから期待の声が飛ぶ。
しかし、それが逆に重圧となって松岡にのしかかる。
(4番なんだから、打たなきゃ……チームのために……)
心臓の鼓動が早くなるのを感じた。
一方、石上は冷静だった。
(こいつは力任せに振ってくるタイプ……焦らせれば勝てる)
江原もそれを理解し、慎重にサインを送る。
「まずは外角から様子を見るぞ」
初球、外角ストレート。
「ストライク!」
松岡はバットを出せなかった。
(しまった……!)
タイミングを測ろうとしすぎた。だが、初球から強気に攻めてくるとは思わなかった。




