表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スラッガーにはなれないけど  作者: 世志軒
第1部 第2幕: 高校1年生の春

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/229

第2幕: 高校1年生の春──紅白戦 2年生の壁⑪

3球目、インコースのストレート!


(しまった、さっきの球より厳しい……!)


 だが、追い込まれるのを避けたいという焦りから、高橋は思わずバットを出してしまう。


「カスッ……!」


 打球は詰まり、セカンドの正面へ転がった。


(まずい……!)


 高橋は走り出しながらも、瞬時に状況を把握した。


(千堂、行けるか!?)


 千堂は迷うことなく三塁へ突っ込んでいた。セカンドが素早く前進し、一瞬送球を迷う。


(……投げるなら、一塁か?)


 そう判断したセカンドは、一塁へ送球!


「アウト!」


 一塁はアウト。しかし、その間に千堂は三塁へ滑り込んだ。


「セーフ!」


「ナイスラン、千堂!」


 1年生ベンチから歓声が上がる。


 だが、高橋の表情は晴れなかった。


(……違うんだ)


 本来なら、この場面で進塁打ではなく、ヒットを打つべきだった。


(俺がさっきの甘いストレートをしっかり振っていれば、ヒットになっていたかもしれない……)


 結果として千堂は三塁へ進めた。だが、それは千堂の走塁の判断が良かったからであり、高橋の打撃が良かったわけではなかった。


(結局、俺は慎重になりすぎて、打てる球を逃してしまった……)


 この一打席で、高橋は痛感した。


(慎重に選ぶことが大事なのはわかる。でも、それで"本当に良い球"を逃してしまうなら、意味がない)


 彼は一塁へ向かいながら、自分のプレースタイルに対する疑問を抱いた。


ベンチでは4番・松岡竜之介が立ち上がり打席へ向かう。


「よっしゃ、チャンスだ! 松岡、頼むぞ!」


 1年生ベンチが盛り上がる中、高橋はゆっくりとベンチへ戻った。


(慎重なプレーは悪くない。でも、それで"本当に必要な結果"を生み出せなかったら意味がない)


 彼の中に、新たな課題が生まれた瞬間だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ