23/231
第2幕: 高校1年生の春──紅白戦 2年生の壁⑥
鋭く弾き返された打球がセンター前に落ち、1年生ベンチが一気に盛り上がる。
「よっしゃ、ナイスバッティング!」
「流れ、完全に来てるぞ!」
千堂陸は一塁ベースを軽く踏み直し、深く息を吐いた。初球の内角高めを捉えたことに手応えはあったが、まだ仕事は終わっていない。
(ここで止まるわけにはいかねえ)
「よっしゃ、流れ乗ってこうぜ!」
軽快な声とともに、佐藤悠真がバットをクルクルと回しながら打席へ向かう。
「千堂が塁にいるなら、俺の仕事は……そうだな、何としても繋ぐことだな!」
明るい性格の彼は、どんな場面でもポジティブだ。しかし、内心ではプレッシャーも感じている。
(俺、こういう場面で焦って凡退すること多いんだよな……でも、今日は違う!)
彼の武器は走塁センスと守備範囲の広さ。しかし、バッティングにはまだ課題が多い。特にタイミングが遅れがちで、三振も少なくない。
(絶対に当てる……よし、冷静にいこう!)
バットを握り直し、投手の石上を見据える。




