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第2幕: 高校1年生の春──紅白戦 2年生の壁①
試合の流れが1年生チームに傾きかけたその時、石上は残りの打者を三振で打ち取り、マウンドを降りた。
1回裏
その石上が打席に立つ。投手としては、打者の心理を読み解く知的な投球術が持ち味だが、打者としても同じように、投手の球種や試合の流れを読み取るタイプだ。
石上はバットを握りしめ、しっかりと構える。冷静な目でピッチャーを見つめながら、次に来る球を予測している。
バットを大きく構え、ピッチャーの投球を待つ。
――初球。
石上は迷うことなく、鋭いフルスイングを決める。そのバットがボールを捉え、鋭い音が響く。
「ゴンッ!」
ボールはわずかに芯を外していたものの、依然として力強さを失っていない。その打球は鋭くセンター方向へと飛んでいく。少し打ち損じた感覚もあったが、ボールはしっかりと前に飛び、センター前に落ちる。
「よし!」
石上は満足げに一塁へ向かう。ベンチからは歓声が上がり、チームメイトたちはその打撃に元気づけられているのが伝わってくる。
「これで流れを引き寄せたな」