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孤高の剣鬼やめます。転生したのでまずは学園で友達作りから〜ぼっち剣士、転生して次こそ最強を目指す〜  作者: 猫額とまり


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第11話 リリとお出かけデート?



 ――翌日。


 待ち合わせ場所の噴水で待っていた俺の前に、リリが姿を現した。



「ティグルお待たせー!」


「来たか。退院おめでとうリリ」



 リリは昨日医者に容体(ようだい)をみてもらい、明日には退院して問題ないと言われていた。

 例の回復薬の効能は凄まじく、傷跡一つ残らず完治していたそうだ。


 今日彼女と待ち合わせとしたのは、王都を探索がてら、買い物に付き合ってもらいたかったからだ。

 俺が学園に編入するのは、この休日が明けてから。それまでに今後の生活で必要な物質と、ある程度王都の地理を把握しておきたかったのだ。

 故にリリの気分転換も兼ねて、俺より街に詳しい彼女に案内を申し込んだのだ。



「頼んでおいて何だけど、引き受けてくれてありがとう。他に頼れる人もいないから、正直断られたらどうしようかと思ってた」


「全っ然大丈夫だよ! 騎士は受けた恩を必ず返すものだからね!」



 そう言って平坦な胸を張ってみせるリリ。

 頼みを快諾(かいだく)してくれた彼女は、昨日とは違う装いであった。

 金色の髪をツインテールに纏め、頭には白い花飾りが添えられている。

 背中の開いた白いワンピースからは蝶のような(はね)が飛び出し、きらきらと鱗粉(りんぷん)を振り撒いていた。

 俺の胸のあたりまでしかない背丈も相まって子供のように見えてしまうが、どこか神秘的にも見えてしまう不思議な魅力が備わっていた。



「えへへ。休日に誰かとお出かけするなんてリリ、初めてかも」


「そうなのか? 実は俺も経験がなくてな」


「じゃあリリたちお揃いだねっ」



  ぴょんぴょんと跳ねる彼女は、本心から楽しみにしてくれているのだろう、その笑顔に偽りは見受けられない。


 ……それと、さっきから気になっているのだが……周囲の人からやけに視線を集めている気がする。なぜだろうか?



「よし、じゃあ早速移動するとしよう。まずは衣服を揃えたいんだが、おすすめの店はあるか?」


「あ、だったら南通りのガバノーおじさんのお店がいいよ! 学生向けの安くて丈夫な服がいっぱい置いてあるんだ〜」



 視線が苦手というわけではないが、なんとなくむず(がゆ)い気分になった俺は移動することにした。

 王都レガリアは広い。一日掛けてゆっくり見て回るとしよう。





 俺とリリは王都のあちこちを巡り、必要な物質を買い揃えていく。



「次は家具を買いたいな。リリ、おすすめはあるか?」


「ティグルは学生寮で暮らすんだよね? 家具は備え付けであったと思うよ?」


「俺は寝具にはうるさい男でな……昨日見てきたが、あのベッドは固すぎる」




「次は食料を買い込みたいんだが……魔物の肉とかは売ってないのか?」


「へ? ま、魔物の肉はどこにも置いてないと思うなぁ……」


「そうなのか……やはり魔物食は現代では廃れてしまったのか」


「ティグル、魔物なんか食べたらお腹壊すよ……?」




「結構大荷物になっちゃったね……一旦寮に持ち帰る?」


「これくらい平気だ。戻る時間が惜しいし、このまま買い物を続けよう」


「ほへー、ティグルって力持ちなんだね……リリとは大違いだ!」


「…………あ。荷物持ったほうがいいか?」


「だいじょうぶ! 自分の荷物は自分で持ちます!」




 そんなこんなで、色々と生活物資を買い込みながら、王都の地理や店を教えてもらって。

 ひと段落した俺たちは、休憩がてら店で昼食を摂ることにした。



「……よし。生活に必要な物資は大体そろったか」



 未だに周囲の人からチラチラと視線を感じるが、いい加減にもう慣れた。

 両親にもらった冊子を見ながら、俺は買い忘れがないかを確認する。

 寮暮らしで必要な物までこの冊子には書かれてあった。

 俺だけではここまでスムーズに用意できなかっただろう。両親とリリに感謝だ。



「もぐもぐ……ねえティグル、何読んでるの?」


「これか? 両親からもらったものでな、一人暮らしに必要なものを書いてくれているんだ」


「ほえ〜、優しいお父さんとお母さんなんだねっ」



 リリはそう言って魚と芋の揚げ物を口に運ぶ。

 アヴァロン王国の名物料理らしい。多分、俺の前世にはなかった食べ物だ。



「リリは親がいないから、お父さんとお母さんがいる感覚ってよくわからないんだー」


「……そういえば妖精族は、精霊と同じように自然発生(・・・・)するんだったな」


「例外はあるけど、リリはそうだよ。気づいたらポンって生まれてたの……もぐもぐ」



 妖精族らしい独特の価値観を話しつつ、美味しそうにポテトを頬張るリリ。

 風や雲、精霊が自然と生まれるように、妖精も世界の法則によって自然と発生する、らしい。

 詳しい原理までは俺も知らない。恐らくリリ本人も同じだろう。


 思えば、家族以外でこれだけ長い時間誰かと接したのは、今世では初めての経験だろう。

 リリも事件のことは一旦忘れて、王都探索を楽しんでくれていた、と思う。



「あと買い揃える物は――」



 運ばれてきた俺の料理をフォークで突きつつ、冊子に視線を巡らせる。

 やがて、それはある一点で静止した。



「…………」



 既に冊子の中身は全て把握している。

 俺の視線が止まったのは、それを読んで思い出したくないことを思い出したからだ。

 そのページには円滑(えんかつ)な学園生活を送る上での、(いく)つかの秘訣が記されていた。

 俺が頭を悩ませているのは、その中の一文である。






『学園生活の基本は友達を百人作る事! 村でお友達ができなかった分、学校でたくさん友達を作りましょう!』




 ……俺が必要としているのは、俺と剣を競い合い高め合うことができる人間だ。

 転生した当時は漠然(ばくぜん)とそう考えていたが、今考えればそれは“友達を作る”という行為に他ならない。

 同じ(こころざし)を持つ同士。これを友達を言わずして何と言うのか。

 両親は友達がいない俺を気遣って冊子に書いてくれたのだろうが、これは俺の目的にも合致する。これを遂行(すいこう)しない理由はない。



 ――だがどうやって友達を作るのかがわからない。

 正直最初、これを目にした時は「友達ってどうやって作るんだっけ……?」と思わず呟いてしまった程だ。

 ガリウス先生にはああ言ってしまったが、友達の作り方なんて忘れてしまった。冊子にも作り方までは載っていなかった。



 だから俺は、必死に友達の作り方を考えた。

 剣以外のことを考えるのは苦手だが、ここで逃げては前世と同じ。

 考え、考え、考え抜き、やがて一つの結論に達した。




“だめだ、わからん”




 ……前世も今世も、生涯の殆どを剣に費やしてきた俺にとって、この課題はあまりにもむずかしすぎた。

 わからないものはわからない。(ゆえ)に俺は一旦この問題を棚上げすることにしたのだ……



「とはいえ、いつまでも放置はできないな……明日からは学園生活も始まるし」


「ん? どうしたのティグル」


「いや、なんでもない。リリのその料理、美味しいか?」


「うん! リリの大好物なの! ティグルの牛さんのミートパイも美味しそうだね〜」



「……よかったら、一口食うか?」


「ほんと!? ありがとーティグル! 私のお魚さんも一口あげる!」


「おお、有り難い。実はどんな味か少し気になっていたんだ」



 そう言うとリリは嬉しそうな顔をして、切り分けた魚のフライをフォークに刺し、俺の口元に運んできた。



「はいどーぞ!」


「もぐ。……おお、確かに美味いな。外はサクサクで中身はフワフワだ。魚肉とはこんなに柔らかくなるものなのか」


「でしょー? リリも初めて食べたときはビックリしたんだよ! 人間さんの作る料理ってすごいよねー」


「じゃあ次は俺の番だな。……ほら」


「もぐっ。……ふおぉっ、アツアツでジューシーだーっ! おいしー!」



 美味しそうに頬張るリリの口元が汚れていたので、ナプキンで拭いてやる。

 まるで濡れた子犬が身体を拭かれる時のように、リリは目を細めてされるがままだった。




「……? なんか他の人達に見られてる?」


「リリも気づいたか。一体何なんだろうな?」



 料理の食べさせ合いをした辺りで、急に視線が強まった気がする。

 未だに理由はわからない。妖精族のリリが物珍しいのだろうか?。

 なぜかこちらを見て赤面(せきめん)しているような気がするが。



 ……まあ、考えてもわからないものは仕方ない。

 とにかく目下(もっか)の課題は友達作りだ。明日から学校生活だというのに、早くも先ゆきが不安である。

 一体どうすれば友達が作れるんだろうな……





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