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さくら  作者: 雨世界
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 わたしとさくらは中学生の三年間をずっと一番仲のいい、いつも一緒にいる友達として過ごした。出会った最初のころはもちろん、わたしはさくらに憧れていて、いつもさくらのことを綺麗だと思っていたけど、もうそんなことも思わなくなった。だって、さくらはさくらだったからだ。それ以下でも、それ以上でもない。(少なくともわたしの中ではそうだった)さくらが男子生徒に告白されるたびにわたしはさくらが告白を断る手伝いを友達としてしていた。もちろん本当にさくらが誰かのことを好きになったら、さくらの恋を全力で応援するけど、今のところさくらは「恋愛はあんまり興味ないかな?」といつもわたしに言っていた。だからというわけじゃないけど、中学校の三年生のときにわたしにさくらよりもさきに彼氏ができると、さくらはすごく喜んでくれた。「おめでとう!」と満面の笑顔で言ってくれた。わたしの彼氏はかっこいい男子生徒ではなかったけど、真面目でとてもいいやつだった。(そういうところが好きになったのだ。それに、少しさくらににているとも思った)

「あなたとともだちになれて本当によかった。ありがとう」とある日、きゅうにそんなことをさくらはわたしに言った。わたしはさくらがそんなことを言ったから、なんだかすっごく恥ずかしくなって「ばか。なにいってるのよ」とにっこりと笑ってさくらに言った。わたしはさくらがわたしのことをからかっているのだと思ったのだけど、そうではなかった。さくらは泣いていたからだ。なんでさくらが泣いているのかわからなかったけど、わたしはさくらのことをぎゅっと抱きしめた。さくらが泣き止むまで、わたしはずっとそうしていた。(いつのまにかわたしもさくらと一緒に泣いてしまった)

 わたしとさくらは一生の友達なのだと思った。ずっと一緒にいる離れ離れになることはない友達なんだと思った。それはきっと(わたしの思い違いではなくて)さくらもそう思ってくれていたと思う。でも、人生は残酷なものだった。同じ田舎の高校に通っていた秋のころ。きゅうにさくらの引っ越しが決まったのだった。

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