表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さくら  作者: 雨世界
2/6

 わたしとさくらの生まれたところは田舎の町で人も少なくて、とても静かなところだった。自然は豊かだったけど、観光地になるようなところではなかったので、本当になにもなにもすることがないような町だった。だから綺麗なさくらはきっと高校生か大学生になったときに、(あるいは就職するにしても)絶対に東京にいくんだろうなと思っていた。でもさくらに聞いてみるとさくらは今のところ、このなにもない田舎の町から出ていくつもりなないといった。そのことを聞いてわたしはとてもびっくりした。(もったいないと思った。さくらならきっといろんなことができるはずなのに。大きな夢だってきっと叶えられるはずなのにと思った)

「ここはいいところだよ。別に無理して東京にいこうとは思わないな。人が多いところは苦手だしね」とにっこりと笑ってさくらは言った。そのさくらの顔は嘘をいっていないさくらの顔だった。(友達のわたしにはそれがわかるのだ)

「いいところじゃないよ。遊ぶ場所はないし、おいしいものを食べられるお店もないし、ほしいものだって、全然売ってないよ。いいところじゃない。わたしは絶対にこの町を出たいと思うよ」とわたしは言った。するとさくらは「そうかな。いいところだと思うけどな」とわたしを見て言った。

 わたしとさくらの日常はとても穏やかで平凡なものだった。なにも事件も起きないし、大きな出来事のようなこともなにもなかったし、昨日と同じ今日を繰り返しているような毎日だった。中学校の一年の行事をこなしながら、勉強をして、おしゃべりをするだけの毎日だった。わたしが「とってもたいくつだね」というとさくらは「そんなことないよ。毎日楽しいじゃん」と笑いながらわたしに言った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ