第24話 罰
「魔法が……使えない?」
「あいつが? 一人で? まさか」
「ありえない。我が一族の秘法だぞ。ありえない!」
一様に困惑する三人の術者たち。
どうやら僕が掛けた魔力封じは成功したようだ。
原子を操れるのだから物質の解析さえ出来てしまえば再現は容易だ。だけど、この魔法を創った人がそうではないのであれば、相当な苦労があったと思う。
一体どうやってこの物質を見つけ、さらに魔法化できたのか。
前者に関しては魔力を受け付けない植物でもあるのだろうか。もしくは鉱物?
いや。生物でも……。
存在するあれば探したい。
後者は、魔法化が得意な人。もしくは種族か。
エルフとか?
「んん!」
力を込める野太い声に楽しい思考を遮られてしまった。
エネルギー反応のある頭上を見上げると雷球が迫って来ていた。
爬虫類のような皮膚の男の攻撃だ。
これは既に見ている。どころか体験しているので、防御は可能だと判断できている。
あとは魔力障壁で防ぐが躱すかなのだけど、それを決断する前に赤いスライムが食べてしまった。
このスライムは僕の分身体のような存在だからか、感情が伝わってくる。
とても美味しいそうだ。
人食とか変な食癖じゃなくて一安心。
落ち着いたら他に何が好みなのか試してみよう。
さて。
爬虫類のような皮膚の男は、次の攻撃の準備なのか体内の魔力を更に練り上げている。
余程のエネルギーが充満しているようで、エネルギーが体外に漏れ出てまるで雷光を纏っているようだ。
一体どんな攻撃を繰り出しててくるのか興味が沸かない事もないけど、さすがに今度は僕のターンとさせてもらう。
爬虫類のような皮膚の男を結界で包み込む。
「っ!?」
そして結界内で瘴気を発生。
「ギャャャャャ」
毒によって皮膚を焼き、細胞を破壊し、更に酸で溶かす。
こいつには痛みというものをとことん味わってもらいたい。
これまで痛めつけてきた人たちの数だけ。
前世で抱いた皮剝ぎの刑に対する嫌悪感をぶつけるようで若干の罪悪感はあるけど、それ以上に僕の心はムカついている。
「ギャギャギャギャギャ」
力を失い、地面に横たわった爬虫類のような皮膚の男の頭の上で可愛らしい小鬼が笑う。
幻覚魔法も成功したようだ。
爬虫類のような皮膚の男は幻覚世界において先程瘴気によって感じた痛みを与え続けられることになる。期間は彼がこれまで嗜虐してきた記憶次第。
この小鬼は幻覚魔法が効いている証として作ってみた。見た目で分かったほうが世話しやすいと思って。
思った以上に可愛くできたので名前でも付けたくなってきた。
名前は……。
「オオオオオオ」
また楽しい思考が遮られた。今度は観客の歓声。
いや。雄叫びか。
それと共に観覧席やゲートから血気に逸った者達がなだれ込んでくる。
どうやら数の力で圧倒するつもりらしい。
なんか……。
すごくワクワクする!
お祭りの中心にいるような。
これを魔法で一掃するのはあまりにももったいないので、思いっきり戦闘を楽しむことにした。




